翌朝、家族と別行動をとったwinebuffは、車で一路ワイナリーに向かいます。最初、徒歩圏内の「マクギガン」に行こうかと思っていたのですが、セラードアが開く時間の早いところがあったので、時間の節約を考え、遠方から攻める事にしました。
Tyrrell’s Wines
1838 Broke Road Pokolbin NSW 2320 Australia
まず最初にやって来たのがここ「ティレルズ・ワインズ」です。1858年に設立された、オーストラリアでも有数の家族経営ワイナリーです。国際的な賞を多数受賞しており、ビジターセンターのお兄さんにもぜひ行くようにと勧められました。セミヨンやシラーはもちろんの事、シャルドネやピノ・ノアールの先駆者でもあるようです。
ここには、写っていませんが、若いお兄さん二人がセラードアで迎えてくれました。しきりにテイスティングを勧めてくれるのですが、ドライバーだからと固辞。すると、「えっ。日本って全くアルコール摂取しちゃダメなの?」とお兄さんは驚きます。もちろん全くダメではないのですが、面倒くさいので、「日本では0だ!」と主張しておきました。後から調べると、オーストラリアでは、血中アルコール濃度が0.05%までは、OKなのですね。日本では、道交法的に血中アルコール濃度換算で0.03%で酒気帯びになるそうな。国によって色々なんですねえ。
ティレルズのフラッグシップは「VATシリーズ」で知られるワインメーカーズ・セレクションなのですが、winebuffの欲しかったのは、年間生産量が僅か6,000本のHunter Valley屈指のシラー、Vat 9 Hunter Shirazと、オーストラリア最良の白と謳われるVat 1 Semillon。
どちらも運良くゲット!幸先の良いスタートです。このワイナリーは、眺望も素晴らしく、思わずカメラを向けたくなります。何故かフレームに汚い掘っ建て小屋が映るので、それを外して何枚かシャッターを押しました。が、実は、その小屋は、初代エドワード・ティレルが、ワイン造りを始めた由緒ある建物だったらしく・・・。下調べはちゃんとしておくものですね。
さあ、気を取り直して次のワイナリーへ。
OAKVALE
1596 Broke Road, Pokolbin NSW 2320
「オークベール」は、1893年創業と、ここもかなり歴史あるワイナリーです。歴史がある割には、日本で見かける事が殆ど無いレアなワイナリーなので、どんなお宝ワインが眠っているのか、と期待しましたが、建物も普通に小綺麗で、ワインのワインナップも至って普通。トップレンジも数十ドルとリーズナブルでした。何だかちょっと肩透かしを食らったような気分です。
とはいえ、せっかく訪れたのですから、ワインを購入!ここは、シャルドネ等白ワインが有名らしいのですが、winebuff的にはやはり赤。こちらでは割とポピュラーなCS&Shirazのブレンドワインをゲット!
ワインダイアリーのテイスティングメモ
帰り道に放し飼いの鴨?の一団に遭遇。せっせと車から逃げていきます。このワイナリーも全体的に清潔でとても眺望が良い、素晴らしいワイナリーでした。良いワインは良い環境から。そんなセオリーが納得できる環境ですな。
ホテルに戻って車を置き、今度は徒歩でやっと「マクギガン」へ。このワイナリーは2700ヘクタールもの畑を有する大手の有名ワイナリーで、ハンターバレーとバロッサバレーに畑があります。日本では、他にもっと有名なオージーの大手ワイナリーがあるので、あまり知られていませんが、国際的な評価も高く、バラエティも豊かです。
McGuigan Wines
51 Darling St, Balmain East NSW 2041
セラードアには、シラーやセミヨン、シャルドネ以外にもピノグリやリースリング、カベルネ、メルローなど様々な品種のワインが陳列されています。赤のスパークリングという珍しい一品も。セラードアは、大手だけあって広くて効率的です。winebuffが行った時は、ガラガラでしたが、かなりの人数を捌ける位の規模でした。隣にチーズ工場が併設されていたりと、手広く商売されている様子が伺えました。
ここでは、McGuigan Personal Reserve Shirazを2本購入。$100とかなりお高かったのですが、ハンターバレーのトップシラーを試してみたく、ビンテージ違いを2本購入。
ワインダイアリーのテイスティングメモ
さあ、そうこうしているうちに時間が尽きてしまいました。そろそろ家族の元に戻らねば。とはいえ、オーストラリアのワイン紀行はこれで終わりではなく、まだちょっと続きます。
1泊滞在したポーコルビン地区を出立し、最後に家族と共に向かったのは、ブローク地区にある「マーガン」です。30km弱の道のりを車でのんびりドライブ。その間、殆ど畑や牧場しか見えないというのどかな雰囲気です。30分も走ると小さな町に行き着き、その町の外れにワイナリーがありました。
Margan Wines
1238 Milbrodale Rd, Broke NSW 2330
何故ここなのかというと、お目当はワインよりもむしろレストランなのです!(いや、決してワインが美味しく無いと言ってるわけではなく、あくまで料理がより一層素晴らしいと褒めているわけで・・・。)旬の食材を使った本格的な料理が評判で、なんと食材のおよそ9割が厨房の庭と果樹園で栽培された野菜と果物で賄われているそうです。そういえば、お隣のニュージーランドでもワイナリーの美味しいランチを頂きましたが、そこもワイナリーのカテゴリーを超えて、ニュージー全体でもトップクラスのレストランでした。
モダンで落ち着いた雰囲気、清潔で内装も素晴らしく、料理に対する期待が高まります。ワクワクしながら待っていたその時、またまた問題が発生。ウチの子供のイヤイヤ病が再発し、暴れ始めたのです。(泣)どうやら待っていたジュースが中々来なかったためらしいのですが、どんなになだめすかしてもダメで、とうとうレストランを(父によって)退去されられる事に。しかし屋外に連れ出しても泣き止まず、父母交代でほとほと手を焼きました。レストランの方は、そんな子にもやさしく接して下さったのですが、親はとても恥ずかしい思いをしました。もう少し分別を付けてくれればと思ったのですが、親の都合であっちこっち引き摺り回される子供も大変でしょうし、まあこれは時間が解決してくれるのを待つしかありませんね。
ワインマリアージュのランチメモ1
ワインマリアージュのランチメモ2
途中から機嫌を直した子供と一緒に素晴らしいランチを頂きましたが、正直味わって食べる余裕はありませんでした。とほほ。
当たり前の話ですが、ここはワイナリーですので、もちろんワインもあります!ランチにワインが飲めなかったので、1本割引価格で購入しました。2018年の出来立てホヤホヤ、WHITE LABEL BC4 SHIRAZです。早飲み用の軽いワインと書いてありましたが、いえいえ中々しっかりしており、お値段を考えると優秀なワインでした。
ワインダイアリーのテイスティングメモ
これにてオーストラリアのワイン事情はおしまいです。総括、というのもなんですが、ハンターバレーのワイナリーにはとても好印象を持ちました。他国の有名なワイン地区では、あまりに観光客ずれしていてぞんざいな扱いを受ける事もあるのですが、ここはちょっと田舎でフレンドリー。そして美味しい食べ物もあり、ワインも物価の高いオーストラリアにしてはリーズナブル。ワイン自体のレベルは、正直もの凄く高いとは言えませんが、トータルで考えるととてもオススメです。次にこの国に来る機会があれば、オーストラリアのナパバレーと言われるバロッサバレーにもぜひ行ってみたいです。
それでは。See you!
[winebuff]
winebuff達は、シドニーでは、キッチン付きのアパートに宿泊していました。何故かというと小さい子供を連れていたからで、夜の外食も難しいだろうとソファーやダイニングテーブルもある中心地のアパートメントを選択したのですが、結果的には大正解。
ディナーはおろかランチすら難しい状況で、殆どスーパーやコンビニ、一部テイクアウトで食材を調達するという体たらく。本当は、たまにはお洒落なランチやディナーをと我々夫婦は考えていたのですが、子供様の強力なイヤイヤ攻撃に屈してしまい、シドニーでは一度もまともに外食出来ず・・・。とほほ。
でもここハンターバレーの宿泊は、普通のホテルでキッチンも何もありません。イヤイヤ攻撃を封じ込め、今度こそまともな外食をとやってきたのがここRoche Estateです。
ここは、レストランだけでなく、いくつかのワイナリーのセラードアも併設されています。レストランは、日本食と地中海料理の2つのレストランがあり、私達は、地中海料理のGoldfishに行きました。
Goldfish
Corner of Broke & McDonald Roads Hunter Valley
美味しそうなピザ(実際、美味しかった)にサーモン(さすが本場のサーモンは違う)。久しぶりの外食で気分も上がります。fishと店名にありますが、魚以外に肉やチーズ等のメニューもあり、結構間口が広いお店です。
そして日本が誇る巻き寿司、あれっ。なぜ地中海料理にお寿司が?
実は、子供が食べるものが無いといけないと思い、隣の日本食レストランでテイクアウトした寿司を勝手に持ち込みました。結局、お店の人に見つかり、注意されてしまったのですが、小さい子のためという理由で許してもらいました。スミマセン・・・。
ワインは、お隣にセラードアがあるTempus Twoのシラーを頼みました。
ワインダイアリーのテイスティングメモ
ちょっと厳しい事を書いてしまったのですが、それでも美味しい食事と共にワインを楽しむのは至福のひと時。残したワインは、栓を貰って部屋に持ち帰りました。
その3に続く・・・。
[winebuff]
シドニーからはるばるハンターバレーへとやって来たwinebuff御一行。ここは、シドニーの北部、約160kmに位置する、シドニー市民の週末リゾートでもあります。車で約3時間のお手軽ショートトリップ、のはずだったのですが、これがなぜか一苦労。まず、レンタカーを借りるところから一悶着あり、オーダーしていたはずのチャイルドシードが用意されていないトラブルが発生。winebuffのへっぽこ英語も悪いのですが、係の人と意思疎通に時間が掛かり、ここで小一時間浪費。
何とか車に乗り、気を取り直して出発したのですが、今度は、高速道路が工事中で一部不通。仕方がないので下道を迂回して行ったのですが、これがまた日本と勝手が違って走りにくい。日本ならどこでもありそうなサービスエリアも高速にあまりなく、昼過ぎについて優雅にランチの予定が、途中のマックでハンバーガーをかぶりつき、ようやくハンターバレーに着いたのが4時前。
これは、やばい。大抵のセラードアは5時で閉まってしまうではないか。下調べは一応してきたものの、その情報だけでは心もとない。こういう時は、よく知ってる人に聞くのが一番。という事で、ビジターセンターにて途中下車。
Hunter Valley Visitor Information Centre
455 Wine Country Dr, Pokolbin NSW 2320
結構新しい、クールな建物ですな。どこの国のワイナリー地区も同じなのですが、ワインで潤っているところは、街も小綺麗で人も親切です。このセンターでもオージーのお兄さんに、マップを見ながら色々教えてもらいました。
「グレイトなワイナリーを紹介しろだって?」
「なら、こことここのワイナリーは外せないな。」
「幸運を祈る。良い航海を!」
一部脚色しておりますが、ざっとこんな感じのやりとりがあり、ワイナリーマップを頂いてセンターを後にしました。
元々、今回のワイナリートリップは、子連れで大変だから現地ツアーにしようと奥さんと話をしていました。実際、事前にここだ、という電車の1泊2日ツアーを見つけて予約をしようとしたのですが、予約した瞬間からキャンセル料100%という条件もあり、直前でも良いかと言って放置していました。出発の10日程前になって、そろそろ予約しようかとwebにて手続きを始めたのですが、なんとまさかの満席御礼!
「ええっ〜、そんなあ。」と呻いても後の祭り。エージェントに散々粘って交渉したものの結局NG。ならば伝家の宝刀、レンタカーじゃ、といつも海外でお世話になっているハーツで車を予約したり、オーストラリアの車事情を研究したりと、ただでさえバタバタする旅行前に仕事の締めも重なって究極に錯綜、迷走しておりました、はい。
まあ、お恥ずかしい内部事情はさておき、やっとの事で本日宿泊するメルキュールに到着。
ここは、車で部屋の前まで直接乗り付けられるモーテルのようなところなのですが、設備もしっかりしており部屋も広く快適。お値段もシドニーと比較するとリーズナブルです。しかし、ここの最大の魅力は、お値段などではなく、何と言ってもハンターバレーの中心に位置することで、歩いていける距離にセラードア(しかも有名な)が何件もあり、観光名所のハンターバレーガーデンや各種ショップ等にも歩いていけます。奥さんや子供を放置して、ワインの試飲と称して呑んだくれていても大丈夫です。
さあ、まずどこから行くかな。
ホテルから歩いていけるワイナリーの中で外せないのは、やはり「マクギガン」と「ブロークンウッド」。しかし本日は、時間が押していた事もあり二つは無理です。どちらを選ぶかちょっと迷いましたが、迷わずブロークンウッドへ(おいおい)。
Brokenwood Wines
401-427 McDonalds Rd, Pokolbin NSW 2320
1970年に設立されたここハンターバレーでも有数のワイナリー、ブロークンウッドは、最初、クリケット場として予定された土地に葡萄を植えて始められたそうです。今回訪問した際には、ピッカピッカの新しいセラードアが稼働し始めており、とても快適な空間でワインを試飲させて頂きました。
ワインテイスティングには2種類あり、スタンダードなワインを飲ませてくれるものとプレミアムなワインも試飲させてくれるものがあり、winebuffは迷わず後者を選択。テイスティングの後、ワインを購入すればその分値引きしてくれるという事ですから、最初から買う気満々の私には、何の不都合もありません。
このハンターバレーは、赤のシラーと白のドライセミヨンが有名とのこと。ただし、ここは冷涼な気候らしく、バロッサ等の濃厚なシラーではなく、どちらかと言うと繊細なピノの様な味わいでした。価格もプレミアムと言いながら、日本円で1万円台まで。5万も6万もする他の地域に比べると控えめです。
正直、シラーよりもむしろ、ドライセミヨンの方がこの地では有名でしょう。普通、セミヨンと言えば甘い品種のイメージがありますが、ここではドライの100%セミヨンがあります。アルコール度数は、10〜11度と軽いのですが、複雑な味わいで個性的です。スッキリごくごく飲むタイプではないのですが、しっかり味わって飲むタイプでもなく、あえて言うとその中間でしょうか。最近、世界市場を念頭に置たワイン作りが盛んで、その分昔の様な個性が無くなってきている感じがするのですが、このドライセミヨンは久しぶりに飲んだ個性派ワインでした。
そうそう、白ワインでは、近年シャルドネの栽培も盛んだそうです。シャルドネは、世界共通というか、世界で一番ポピュラーな品種と言っても過言ではありません。すっきりごくごく、夏の暑い日に喉を潤すには最適なワインでしょう。でもその分個性には欠けます。いつどこで飲んでもシャルドネはシャルドネ。良くも悪くも安定の品質でした。
ブティックワイナリーが多いハンターバレーですが、このブロークンウッドは、その中でも手広くワイン作っており、この地域以外にも畑を持っています。今回の試飲でもハンターバレーシラーだけでなく、キャンベラやマクラーレンヴェイルのシラーも比較試飲させて頂きました。
やはり、ハンターバレーシラーは、いわゆる流行りのワインの味ではありませんでした。繊細さや複雑さなどが特徴で、濃甘ワインを期待されている諸氏には、多分口に合わないのではと思いました。でも一口飲めば、このワインがどれだけ手をかけて真摯に作られているか分かります。流行りに流されず、自分達の理想のワインを作り出そうと努力されているこの素晴らしいワインを、機会があればぜひ飲んで見て欲しいと思いました。
係の人に色々話を聞きながら飲んだいたら、あっという間に5時の閉店時間。今日は、出鼻を挫かれて残念でしたが、明日は、本格的にワイナリーを巡ろうと思います。おっと、その前にようやくオーストラリア初ディナーにありつけたの話もあるのですが、それはまた次回に。
[winebuff]