茨城ワイン紀行


大変ご無沙汰しておりました、winebuffです。前回の山形行きから9ヶ月近く経ちましたが決してサボっていた訳ではありません。色々忙しく予定も合わなかったためこの様に間が開いてしまいました。それはさておき、今回は近場ですが日本ワインの歴史を語る上でとても重要な茨城のワインスポットを訪問します。

この壮麗なシャトーは知る人ぞ知る、日本におけるワインの普及に多大な貢献を果たした神谷伝兵衛のシャトーカミヤ(現:牛久シャトー)です。日本のワイン醸造の元祖は、山梨県甲府市の山田宥教と詫間憲久が設立した「ぶどう酒共同醸造所」ですが、この神谷伝兵衛も日本ワインの歴史に欠かせない重要人物なのです。それを今からご説明いたしましょう。

訪問時、ちょうど桜まつりが開催され始めた時期で多くの観光客で賑わっていました。シャトー内には約250本のソメイヨシノがあり、期間中は桜にちなんだお酒やお花見用フードの販売、桜メニューの提供などが行われ、夜には桜のライトアップも実施されるそうです。

シャトーと名乗るだけあって、施設内には醸造設備やワイン貯蔵庫、葡萄畑もある、1903年に設立された日本初の本格的なワイン醸造場です。当時は牛久駅までワインを運搬する線路が引かれていたとか。現在も当時の建物がいくつも残り、貴重な文化遺産となっています。

丁度お昼どきだったので、まずは腹ごしらえ。シャトー内にあるレストランへと向かいます。ここは以前貯蔵庫だった場所を改装したレストランで煉瓦造りの趣のある建物です。

エントランスには、シャトームートンの空き瓶がずらりと鎮座ましましています。思ったよりも拡張の高いお店の様です。チラシによると今は桜メニューのランチを展開しているとのことで期待に胸が高鳴ります。とその時、チラリと見えた立札に「本日貸切」の文字が・・・。がーん。残念無念、あえなく撤退です。

でも大丈夫。そんな事もあろうかと次策はちゃんと用意しております。と言っても、ただ単にシャトーの門付近で見たのぼりにBBQと書いてあったのを思い出しただけですが。こんなお洒落なレストランでBBQなどやっているはずがない。どこか他に食事の出来るところがあるのだろうと辺りをウロウロ。するとありました。BBQや軽食が頂けるシャトーガーデンなる施設を発見。

牛久シャトーで造ったワインやビールを片手にピザやホットドッグが楽しめる。うーん、ドライバーで無ければこのポカポカ陽気の昼下がりにぜひぜひ一杯ご馳走になりたかったのですが・・・。

結局、葡萄ジュースにマルゲリータとクワトロフロマッジのピザ、それとホットドッグを頂きました。ちょっと軽すぎるので、後で何か甘いものでも頂く予定です。

さて、腹ごしらえも済んだので、サンクンガーデンを抜けて神谷傳兵衛記念館へと向かいます。ここは元々シャトーカミヤ醸造場施設だったところで、正面の建物は旧醗酵室、向かって左手には貯蔵庫が南北に伸び、その他、地下室苗木場や洗滌室も併設されていました。

正面入り口を入ってすぐ右手にはこの様にワイン樽がずらりと並んでいます。昔は牛久駅からこのシャトーまでトロッコが稼働しており、葡萄畑で収穫された葡萄を醸造場へ運搬し、醸造場で造られたワインを牛久駅へ運搬する役割を担っていました。トロッコの線路は事務室のあった入り口の建物を貫通してこの発酵室の入り口まで伸びていたそうです。

二階は牛久シャトー(シャトーカミヤ)の歴史を紹介する展示室になっています。醸造場としては、一階入り口までトロッコで運ばれてきた葡萄を昇降機を使って二階に上げ、果汁を精製しそのまま一階の醗酵桶に流し入れ一次発酵が行われるという段取りでした。その後、一次醗酵が終わったワインから不純物を取り除いて貯蔵樽に移し替え二次醗酵が行われ、最終的には地下一階の貯蔵樽で熟成されました。

神谷傳兵衛は日本ワインの父と呼ばれていますが、最初からこの様なシャトーで本格的なワイン造りを行なっていたわけではありません。傳兵衛は若い時分に病気に罹り命に関わるほど衰弱した際、勤め先のフランス人オーナーからワインを勧められ体調を回復したことからワインに滋養効果があることを知り、ワインに興味を持ちました。

ですが、当時の日本ではワインは殆ど普及しておらずワインの味も日本人好みではありませんでした。そこで傳兵衛は輸入ワインに蜂蜜や漢方薬を混ぜ甘味果実酒として売り出したところ大ヒット商品となり、その利益でこのシャトーを創設し本格的なワイン造りを始めたそうです。

この独自の甘味果実酒「蜂印香竄葡萄酒」は、形は変わりましたが「ハチブドー酒」として今でも購入する事ができます。このハチブドー酒は甘味果実酒を含めたワインのうち、日本で製造販売されているものの中では最古のもので最も歴史あるブランドなんです。

二階奥からふと右手を見るとガラス越しに最新式の醸造設備が。そうそう、色々な展示物や歴史ある(今では使われなくなった)醸造用器具を見ていると過去の遺産の様に思えたのですが、今でもここでワイン造りが行われているのでした。それでは、折角ですので牛久シャトーワインを購入しに参りましょう。

地下はほぼ暗闇に包まれており、写真で見る様な明るさはないのですが、以前使用されていたと思しき巨大なワイン樽が沢山並んでいました。

記念館の出口付近には当時のワインボトルが展示されていました。これらは甘味果実酒の方ですね。エチケットにも色々な種類があったようですが、どれもボロボロで長い歴史を感じさせます。余談ですが、今でもポピュラーなサントリーの赤玉スイートワインはこの「蜂印香竄葡萄酒」のヒットに啓発される形で作られた後発商品です。サントリー創業者の鳥井信治郎氏が開発し、当時はかなりライバルを意識していたそうです。

これは現存する最古のシャトーカミヤのワインボトルで、2008年9月に近江日野商人館(旧山中兵右衛門邸) の西蔵床下で発見された約100年前のものです。

記念館の見学を終えて向かった先はもちろんショップです。牛久シャトーオリジナル商品をはじめとして、お土産品や茨城県の特産品を販売しています。お目当ては牛久シャトーのワインですが、他にも日本産のワインや一部輸入ワインなども取り揃えていました。

訪問時店内にあったオリジナルのワインは赤白の二種類のみ。白は甲州、赤はマスカットベーリーA。少し残念だったのは100%茨城産の葡萄ではなく他地域の葡萄とのブレンドになっていた事でした。昔の最盛期には、この辺一帯が葡萄畑だったそうですが、戦後徐々に住宅地となって畑が減少していったらしいです。しかし現在は日本のあちらこちらでワイン用葡萄が作られていますから将来的には牛久シャトーでも茨城県産のみのワインが作られるのではないでしょうか?

購入したのは、赤のマスカットベーリーA、2,850円也。奇しくも前回旅行の山形県産の葡萄とのブレンドです。早速家に戻って試飲したいと思います。以上、茨城ワイン紀行でした。・・・ではなく、折角茨城県のワイナリーを訪れたのですから、もっと茨城ワインを満喫したいですね!

というわけで唐突にやってきたのがここ茨城県ひたちなか市にある「コトンひたちなかグランヴィラ」です。関東最大級18棟のドームテントで過ごす優雅なグランピング体験。winebuffも一度グランピングやってみたかったんですよね。でも何故グランピングなのかというと、茨城県産の食材を多用したシェフ監修の懐石フレンチBBQがあるからなんです、これに茨城県産ワインを持ち込み優雅に茨城マリアージュを楽しもうという算段です。

約40平米の室内はこの様な感じで全室シャワー・トイレ・エアコン完備。まるでホテルの様な快適さ。宿泊するドームの横に専用駐車場もあり利便性も抜群。もはやキャンプの要素が無い様な気もしますが、まあ兎に角豪華BBQディナーの始まりです。

部屋の横にそれぞれ専用のBBQスペースがあり、屋根とビニールシートで風雨や寒さも防げて快適に食事ができるのもポイント高し。ただ、色々部屋との行き来が発生するので出入りが面倒という欠点もありますが。

見よ!この豪華食材を。「懐石フレンチ × エスニック」と銘打ち、ウエディングの世界で腕をふるう懐石フレンチシェフとMonsoon Cafe元総料理長の共演です。

国産豚のトマホーク、ロブスターハーフ、海鮮ブイヤベース、蝦夷鮑ハーブバター、国産豚の塩ちゃんこ鍋等々盛りだくさんのメニュー(二日分)ですが、中でも注目したいのが地産地消の品目です。常陸牛ランプに常陸牛サーロイン、つくば鶏の塩麹、茨城県産リーフとタブレのジャーサラダと素晴らしいメニューが並んでいます。

相対する茨城のワインはこの二本。まずは、茨城県つくば市栗原にある「つくばヴィンヤード」の「Tsukuba Series Kurihara (赤)」です。様々なヤマブドウ系黒ブドウのブレンドで、アルコール11.5%とミディアムライトのボディです。つくばヴィンヤードは「つくばワイン・フルーツ酒特区」で2020年に設立した新進のワイナリーです。代表を務める高橋学さんは、定年後に一念発起をしてワイナリーを立ち上げた方でこれからの活躍が期待されます。

ワインダイアリーのテイスティングメモ

お次は、茨城県常陸太田市の武藤観光農園のマスカットベーリーAをつくばワイナリーで醸造した、いわゆる茨城コラボレーションワインです。つくば市北条字古城の丘陵地に位置する「つくばワイナリー」は「つくばヴィンヤード」と名前が似ているのですが、こちらの方が少し先輩で、2012年からつくば市内でワイン用ぶどう栽培し、2019年に「つくばワイン・フルーツ酒特区」の第一号案件として設立されました。

ワインダイアリーのテイスティングメモ

どちらも癖が少なくシルキーで飲みやすい上、果実味もそこそこあって肉料理にも意外なほど相性が良かったです。あまり食事を邪魔しない系なのでそれほど存在感はありませんでしたが、この様な肉メインのBBQでは気軽に合わせられて良かったかも知れません。

さて今回、近いけれど中々行く機会がなかった念願の茨城のワインスポットを訪れてとても勉強になりました。茨城ワインだけでなく茨城の食材も洗練されて素晴らしいと思いましたし、この調子でまだまだ近場で未訪問の地域のワインと地元食材のマリアージュをやってみたいという気持ちを強くしました。とにかく次はもう少し早めに書きたいと思います。それでは、またこのブログでお会いしましょう。

[winebufff]


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