オーストラリアのワイン事情 – Hunter Valley編その1


シドニーからはるばるハンターバレーへとやって来たwinebuff御一行。ここは、シドニーの北部、約160kmに位置する、シドニー市民の週末リゾートでもあります。車で約3時間のお手軽ショートトリップ、のはずだったのですが、これがなぜか一苦労。まず、レンタカーを借りるところから一悶着あり、オーダーしていたはずのチャイルドシードが用意されていないトラブルが発生。winebuffのへっぽこ英語も悪いのですが、係の人と意思疎通に時間が掛かり、ここで小一時間浪費。

何とか車に乗り、気を取り直して出発したのですが、今度は、高速道路が工事中で一部不通。仕方がないので下道を迂回して行ったのですが、これがまた日本と勝手が違って走りにくい。日本ならどこでもありそうなサービスエリアも高速にあまりなく、昼過ぎについて優雅にランチの予定が、途中のマックでハンバーガーをかぶりつき、ようやくハンターバレーに着いたのが4時前。

これは、やばい。大抵のセラードアは5時で閉まってしまうではないか。下調べは一応してきたものの、その情報だけでは心もとない。こういう時は、よく知ってる人に聞くのが一番。という事で、ビジターセンターにて途中下車。

Hunter Valley Visitor Information Centre
455 Wine Country Dr, Pokolbin NSW 2320

結構新しい、クールな建物ですな。どこの国のワイナリー地区も同じなのですが、ワインで潤っているところは、街も小綺麗で人も親切です。このセンターでもオージーのお兄さんに、マップを見ながら色々教えてもらいました。

「グレイトなワイナリーを紹介しろだって?」
「なら、こことここのワイナリーは外せないな。」
「幸運を祈る。良い航海を!」

一部脚色しておりますが、ざっとこんな感じのやりとりがあり、ワイナリーマップを頂いてセンターを後にしました。

元々、今回のワイナリートリップは、子連れで大変だから現地ツアーにしようと奥さんと話をしていました。実際、事前にここだ、という電車の1泊2日ツアーを見つけて予約をしようとしたのですが、予約した瞬間からキャンセル料100%という条件もあり、直前でも良いかと言って放置していました。出発の10日程前になって、そろそろ予約しようかとwebにて手続きを始めたのですが、なんとまさかの満席御礼!

「ええっ〜、そんなあ。」と呻いても後の祭り。エージェントに散々粘って交渉したものの結局NG。ならば伝家の宝刀、レンタカーじゃ、といつも海外でお世話になっているハーツで車を予約したり、オーストラリアの車事情を研究したりと、ただでさえバタバタする旅行前に仕事の締めも重なって究極に錯綜、迷走しておりました、はい。

まあ、お恥ずかしい内部事情はさておき、やっとの事で本日宿泊するメルキュールに到着。


ここは、車で部屋の前まで直接乗り付けられるモーテルのようなところなのですが、設備もしっかりしており部屋も広く快適。お値段もシドニーと比較するとリーズナブルです。しかし、ここの最大の魅力は、お値段などではなく、何と言ってもハンターバレーの中心に位置することで、歩いていける距離にセラードア(しかも有名な)が何件もあり、観光名所のハンターバレーガーデンや各種ショップ等にも歩いていけます。奥さんや子供を放置して、ワインの試飲と称して呑んだくれていても大丈夫です。

さあ、まずどこから行くかな。

ホテルから歩いていけるワイナリーの中で外せないのは、やはり「マクギガン」と「ブロークンウッド」。しかし本日は、時間が押していた事もあり二つは無理です。どちらを選ぶかちょっと迷いましたが、迷わずブロークンウッドへ(おいおい)。

Brokenwood Wines
401-427 McDonalds Rd, Pokolbin NSW 2320

1970年に設立されたここハンターバレーでも有数のワイナリー、ブロークンウッドは、最初、クリケット場として予定された土地に葡萄を植えて始められたそうです。今回訪問した際には、ピッカピッカの新しいセラードアが稼働し始めており、とても快適な空間でワインを試飲させて頂きました。

ワインテイスティングには2種類あり、スタンダードなワインを飲ませてくれるものとプレミアムなワインも試飲させてくれるものがあり、winebuffは迷わず後者を選択。テイスティングの後、ワインを購入すればその分値引きしてくれるという事ですから、最初から買う気満々の私には、何の不都合もありません。

このハンターバレーは、赤のシラーと白のドライセミヨンが有名とのこと。ただし、ここは冷涼な気候らしく、バロッサ等の濃厚なシラーではなく、どちらかと言うと繊細なピノの様な味わいでした。価格もプレミアムと言いながら、日本円で1万円台まで。5万も6万もする他の地域に比べると控えめです。

正直、シラーよりもむしろ、ドライセミヨンの方がこの地では有名でしょう。普通、セミヨンと言えば甘い品種のイメージがありますが、ここではドライの100%セミヨンがあります。アルコール度数は、10〜11度と軽いのですが、複雑な味わいで個性的です。スッキリごくごく飲むタイプではないのですが、しっかり味わって飲むタイプでもなく、あえて言うとその中間でしょうか。最近、世界市場を念頭に置たワイン作りが盛んで、その分昔の様な個性が無くなってきている感じがするのですが、このドライセミヨンは久しぶりに飲んだ個性派ワインでした。

そうそう、白ワインでは、近年シャルドネの栽培も盛んだそうです。シャルドネは、世界共通というか、世界で一番ポピュラーな品種と言っても過言ではありません。すっきりごくごく、夏の暑い日に喉を潤すには最適なワインでしょう。でもその分個性には欠けます。いつどこで飲んでもシャルドネはシャルドネ。良くも悪くも安定の品質でした。

ブティックワイナリーが多いハンターバレーですが、このブロークンウッドは、その中でも手広くワイン作っており、この地域以外にも畑を持っています。今回の試飲でもハンターバレーシラーだけでなく、キャンベラやマクラーレンヴェイルのシラーも比較試飲させて頂きました。

やはり、ハンターバレーシラーは、いわゆる流行りのワインの味ではありませんでした。繊細さや複雑さなどが特徴で、濃甘ワインを期待されている諸氏には、多分口に合わないのではと思いました。でも一口飲めば、このワインがどれだけ手をかけて真摯に作られているか分かります。流行りに流されず、自分達の理想のワインを作り出そうと努力されているこの素晴らしいワインを、機会があればぜひ飲んで見て欲しいと思いました。

係の人に色々話を聞きながら飲んだいたら、あっという間に5時の閉店時間。今日は、出鼻を挫かれて残念でしたが、明日は、本格的にワイナリーを巡ろうと思います。おっと、その前にようやくオーストラリア初ディナーにありつけたの話もあるのですが、それはまた次回に。

[winebuff]

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