伊丹空港と神戸のワイナリー
本年2度目の投稿となります。お久しぶりのwinebuffです。今回は題名通り、兵庫県の2軒のワイナリーを訪問して参りました。目玉はなんと言っても世界唯一の空港ワイナリー「大阪エアポートワイナリー 」です。ビール醸造所がある空港は聞いたことがありましたがワインは初めてです。期待を胸に早速出発と行きましょう。
今回もお馴染みの羽田空港から伊丹空港へと空路移動です。前回は、早朝出発でかなりお疲れモードだったwinebuff一行。その反省点を活かし、この旅はゆとりを持った午後出発に変更。作戦は大成功、と言いたいところでしたが諸般の事情で予定していた便に乗れず、空港で時間を潰す事に。これがケチの付け始めで、この後何度も困難に立ち向かうことになりました。(大体はwinebuffのチョンボだったのですが・・・。)
伊丹空港は、出発・到着ロビーが2階となりますが、大阪エアポートワイナリーは3階にあり、1フロア上がります。この階は空港ホテル以外に飲食店が軒を連ねており、エアポートワイナリーもその一角にありました。ぱっと見普通のレストラン、というか南イタリア料理がメインのれっきとしたワインバルです。
レストランの外壁にどどんと大きく看板が。通行人はいやでも気付きます。以前、伊丹空港には、「グラシアス」というワインショップがあり、winebuffも出張の折によく足を運んだのですが、2018年の空港リニューアルに伴い閉店。代わりにこの様なワイン醸造所併設ワインバルが誕生した模様。製造免許が交付されたのが同年の4月5日だったことから、営業開始当初は他社ワインのみを提供していたとのことですが、現在も自社のワインのみならず、料理に合わせた多種多様なワインをマリアージュされているようです。
レジ横には、販売用のワイン棚があり、エアポートワイナリー以外にも各種ワインが販売されていました。残念な事にエアポートワイナリーの在庫が一種類しかなく、選択の余地なく同社のベーリーAを1本購入。元々製造本数が少ないでしょうから手に入れられただけで良しとしましょう。
ワインバルらしく、カウンターで気軽にワインが楽しめるようになっています。料理は南イタリア料理ですが、主に半径50マイル内の食材を使用と地産地消のコンセプトを掲げており、夜以外にランチも提供するなど、様々な用途に対応した間口の広いお店になっています。
そして奥のカウンター越しに見えるのがこの醸造所の5つのステンレスタンク。自社畑のブドウはまだ無い様ですが、山梨、長野、山形、北海道など、日本全国の契約農家から購入したブドウをここで醸造しています。自社のワインはボトルの販売だけでなくもちろんバルで楽しむことも可能です。何種類ものフレッシュなタップワインが常時提供されているとのことで、飲み比べてみるのも一興かと。
また、エアポートワイナリーでは、ソムリエ・ワインエキスパート資格2次試験対策講座も開講されており、単なるワインレストランというだけでなく、ワインの普及や啓蒙にも積極的に関わっており、自社畑でのワイン作りやその他ワインイベントなど今後の活動にも要注目です。
さて、伊丹空港で予定していたワインも無事入手し、バスで神戸三宮まで移動です。本日は、神戸泊でディナーも神戸で予定しており、時間も押していたので、神戸ハーバーランドの「三田屋」に直接足を運びました。神戸駅から相当歩いてようやくベイサイドのお店に到着。外見もそうですが、内装も古きよき?昭和の正統派レストランといった趣きで、重厚な作りです。
神戸に来たからにはやはり神戸牛。神戸に住んでいた経験もあるwinebuffでも殆ど食べた記憶が無い位の高級牛です。こんな時にしか食べられません。本来ならば、それに見合ったグレートなワインをチョイスすべきなのですが、そうするお会計がととんでもない事になってしまうため止む無くグラスワインを注文。(貧乏臭くてスミマセン・・・。)
写真は、一つが神戸牛のヒレステーキ、もう一つは、国産牛のヒレステーキ。値段は倍以上違います。さて、どちらが神戸牛か分かりますか?因みに、どちらもおいしかったのですが、winebuff的にはやはり神戸牛に軍配が上がりました。
ワインダイアリーのテイスティングメモ
ワインダイアリーのテイスティングメモ
レストランでの食事を堪能した後、タクシーで本日宿泊するANAクラウンプラザホテル神戸に移動。グラスワイン2杯では、全く足りなかったため、先ほど購入した大阪エアポートワイナリーのベーリーAを寝酒代わりに頂きました。
さて、翌朝、近所で借りたレンタカーでやってきましたここは、神戸市西区の小高い丘にある「神戸市立農業公園」こと神戸ワイナリー、通称「神戸ワイン城」です。現在、神戸市が半分近い資金を拠出して設立した半官半民の一般財団法人が運営を行なっています。神戸市西区、北区にある専用の畑と「神戸ワイナリー」内の畑の計約40ヘクタールでブドウを栽培。年間400トンものワインを産出する、国内大手のワイナリーです。農業公園の敷地としては200ヘクタールもあるとの事で、駐車場も広大です。営業が9時からと聞いて9時半過ぎにやってきたのですが、何故かショップ等は10時営業開始との事だったので暫く付近を散策。
駐車場付近の葡萄畑を拝見したのですが、あちこちに見慣れない看板が立っていました。よく見ると様々な企業の名前が。そう、ここはいわゆるワインオーナーズクラブの会員企業様のブドウ畑だったのです。関西の著名な企業の名前が散見され、なかなか手広くやっている印象を受けました。
ブドウはカベルネ・ソーヴィニヨン。生食用ブドウは、7月には既に市場に出ていますが、醸造用ブドウはまだまだこの程度。9月の収穫に向けて先は長そうです。
さて、10時も過ぎましたので、正門からワイナリーに入場致しましょう。入り口付近のバス乗り場に園内マップが立てられていました。ショップの他にも、カフェ、レストラン、バーベキュー場などなど、色々な施設があるようです。今回は、あまり時間もないのでショップメインですが、一通り探索してみることにします。
正門付近にはこの様な立派な石碑が。神戸ワイン発祥の地とありますが、1984年にこの神戸市立農業公園が開園し、同時に株式会社神戸ワインが設立されたとのこと。既に30年以上の歴史があります。
入り口の門を潜ると中央広場があります。修道院の中庭の様な佇まいで、朝一番ということもあり人影もまばら。ちょっと寂しい雰囲気もあります。この回廊沿いに施設が点在していますので、ひとつひとつ見ていきましょう。
この「ワイン熟成館」には、ワインができるまでの工程が説明されていますが、実際には、大小100もの熟成タンクが設置されている場所で、地下では300もの樽が熟成されています。
「工場館」では、そとから瓶詰めラインの見学ができます。訪問した時期はラインが稼働していなかったのでここは素通りしました。最大で6,000本/時のフルボトルの瓶詰めが可能らしく、このあたりも大手の設備だなと感心。ちなみに機械はドイツ製です。
こちらは「ワイナリーカフェ」。まだオープン前だったのでやはり素通り。お昼の時間帯に訪れたならばテイクアウトでランチをと思ったのですが残念です。お店の前では、1回200円のどうぶつの乗り物(年季が入って少々お疲れ気味)が所在なげにスタンバっています。
「ホテル神戸ワイン」、この施設はマップにも載っておらず、HPからも消えています。winebuffも初見でした。少し調べてみましたが随分前に閉鎖されたようです。そういえば、元々運営母体の、神戸市が9割以上出資していた第三セクター「神戸ワイン」も2014年に破産しています。まあこの種の半官半民の組織が債務超過で潰れる話はワイン業界でも良くある話なのですが、ちょっと手を広げすぎたのでしょうか。ワイン城も全体的に施設の老朽化が目立っており、経営の厳しさが感じられます。
屋外には、この様な古いワイン醸造機も展示されていました。これは3螺旋圧搾機で20世紀前半のものです。流石にここでは使われていなかったでしょうから、どこからか譲渡されたのでしょうか。
さあ、それではお待ちかね?のお買い物タイムです。一番乗りかと思いきや、winebuffより先に開店を待っていたお客さん達がいました。横手にワインミュージアムもあるようですが、それには目もくれずショップに急ぎます。
店内は改装されたのか真新しい雰囲気で、広々としています。そして、想像していた以上にワインの種類が多いですね。左手には試飲も出来るカウンターがあり、ワインの他にもノンアルコールのジュースやソフトクリームがありました。ワインの価格帯的には、1,000〜3,000円がメインで、白はシャルドネやリースリング、赤はメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨン系が多く見られました。ワインの他には、カレーやチーズケーキ、ジャムなど神戸土産的な物の数々。これは目移りがします。
何か面白いワインはないかと探していたところ発見しました。ワインショップで先行発売の変わり種ワイン「サクラ・カルテット」です。名前から想像できる通り、神戸産の4種類のブドウ、ヤマソービニオン(52%)、シラー(18%)、ムールヴェードル(18%)、カベルネ・ソーヴィニヨン(12%)のブレンドです。4,840円と結構なお値段(ショップで最も高価なワイン!)でしたが、好奇心に負けて1本購入。
昨日は、外食で散財したので、今晩はテイクアウトでホテルの部屋食にします。ホテルに隣接した新神戸オリエンタルアベニューの3階にある「金寶來」で美味しい中華料理を注文。
「牛肉と筍のオイスターソース炒め」、「海鮮ミンチのレタス包み」、「春巻き」、「エビ蒸し餃子」、「広東風チャーハン」、「揚げ胡麻団子」。見た目はあまりインスタ映えしませんが、どれもおいしかったですし、サクラ・カルテットとのマリアージュも良かったです。
ワインダイアリーのテイスティングメモ
ワインマリアージュのメモ
翌日は、ホテル直結のロープウェイ乗り場から神戸布引ハーブ園へ。約200種、75,000株の花やハーブが咲き集う日本最大級のハーブ園です。神戸の観光スポットとしても有名で、12のテーマの異なる庭園があり、四季折々、様々な花やハーブを楽しむことができます(HPの受け売りです)。
ロープウェイの全長は1,460m。標高400mの山頂駅まで秒速4mで約10分間の空中散歩です。全面ガラス張りのゴンドラは360度全ての景色を見渡すことが出来、神戸の街並みと共に「布引の滝」等の名所を眺めることもできます。
山頂駅で降りると、四季折々の花が咲き集うウェルカムガーデンが目の前に広がります。写真の建物は、ドイツの古城「ヴァルトブルク城」をモチーフにしたレストハウスで、城門に囲われた広場では、レストランやギフトショップの他、各種イベントが行われるホールなどがあります。
ところで何故ワインブログでここにやってきたのか?と疑問に思われた方もいらっしゃるかと思います。そう、winebuffのお目当ては、土日のみ開催される「ハーブマルシェ」です。ハーブ園オリジナルのソーセージ盛り合わせや、ステーキに合わせてこだわりのドイツワインを楽しむ。大自然の中で優雅に(ちょっと早めの)ランチタイムを楽しもうと目論んだのですが。が・・・、あえなく雨天中止。がーん。仕方がないので、一行で宝探しゲームをしたりして、本来の目的である(べき)花やハーブを楽しみました。
画像は、ハーバーランドの観覧車です。今回は、兵庫の2箇所のワイナリーを巡りましたが、とても対照的でした。一つは、現在世界唯一の、空港に醸造所を持つ2018年設立のワイナリー。もう一つは、80年代から地場でワイン作りを行ってきた大手ワイナリー。片方は、畑はおろかワイナリーの設備も出来うる限り簡略化した、「レストランを併設」ではなく、「レストランに併設」されたマイクロワイナリー。もう一つは、広大な自社畑と醸造設備を持ち、レストランやホテルも併設した半官半民の大規模プロジェクトのワイナリー。神戸ワイナリーは一度破産し、その後も厳しい経営状況で奮闘していますが、大阪エアポートワイナリーは、新進気鋭で小回りが効き、活気があります。日本のワイナリーの歴史を辿るような感じで、色々と考えさせられる訪問でした。因みに、帰りの飛行機にも乗り遅れ急遽新幹線で帰京。トラブルが多発した今回の旅。この次からはちゃんと旅行計画を立てねばと反省。
それでは、また次の旅行でお会いしましょう。
[winebuff]