中部地方のワイナリー


みなさん、こんにちは。最近は、国内ワイナリーを精力的?に訪問するwinebuffです。最初、国内のワイナリー巡りといえば北海道や山梨などの有名どころが主だったのですが、四大産地など一通り行ってしまうと、その後は、あまり知られていないマイナーな地域にも足を伸ばすようになりました。昨今のワイナリーブームの追い風もあり、全国で新規ワイナリーが雨後の筍のように増え、もはやwinebuffもその総数を把握し切れていないほどです。ですので、まだまだ訪問可能なワイナリーが沢山あります。

前置きはさておき、今回は、中部地方、愛知と岐阜のワイナリーにお邪魔しました。名古屋駅まで新幹線で行き、その後は車移動です。今回は、今までに無い変わり種のワイナリーという事で、私もちょっと期待しています。何が変わっているかって?早速ご説明いたしましょう。

やってきたのは、多治見修道院。岐阜県多治見市にあるこの修道院は、1930年(昭和5年)にカトリック神言修道会のドイツ人宣教師モール神父によって設立されました。当時は、外国からの宣教師が大勢ここに来られ、日本語の勉強をしながら修道生活を送ったり、キリスト教布教のための拠点として利用されていたようです。中世ヨーロッパを彷彿とさせる独特の建物は、圧倒的な存在感があり、多治見市の観光地としても有名です。

でも何故、修道院?ワイナリーと何の関係があるの?と思われた方もいらっしゃるかと思います。winebuff一行が訪れたのは、もちろんここでワインを作っているからです。言い換えると、この修道院自体がワイナリーでもあるという事です。ふうむ、では早速、正門をくぐってみましょう。残念ながら建物内は撮影不可になっているので、屋外の写真のみになります。あしからずご了承ください。

建物入り口のすぐ側に修道院の地図があります。それを見ると一目瞭然なのですが、院内にぶどう畑が広がっています。3千坪にも及ぶワイン用ぶどうの栽培と地下の醸造施設、もうこれは立派なワイナリーです。実は、設立当初からここでミサ用ワインを作っており、後年それが多治見ワインとして世に広まっていったとか。日本で唯一の修道院ワインとしても有名なんです。

正門脇には、聖母マリア像が荘厳な立ち姿で訪問客を見守っています。こういったところは教会の定番風景ですね。そうそう、修道院と名前が付いているのですが、教会も併設されています。1930年の設立より(移転で一時期中断もありましたが)、院内にカトリック多治見教会があります。初代主任司祭は、修道院のモール神父が兼任されていたそうで、修道院の聖堂と一部施設を使用して宣教等の教会活動も行っているそうです。

建物の前に広がるぶどう畑ですが、訪問した11月は既に収穫は終了しており、ぶどうの枯れ葉が残るのみ。例年ですと11月に修道院主催のワインフェスタが開催されるのですが、去年今年と新型コロナウイルス感染症予防の観点から中止となっており、やや寂しい雰囲気です。フェスタでは、フードの出店が並んだり、様々な国の修道院ワインが楽しめたりととても魅力的な催しのようだったのでとても残念です。来年こそは、復活して欲しいですね。

畑では、新しいぶどうの苗木を植えているところもありました。修道院の畑で栽培しているぶどうは、赤は、マスカット・ベーリーAやカベルネ・ソーヴィニヨン、白は、あまり聞き慣れないローズ・シオターという種類だそうです。ローズシオター種は、1920年代にかの川上善兵衛氏によって作られた、ベーリー種とシャスラー・シオター種の交配種です。

建物を回り込んで「やすらぎの道」を行きます。道の両脇もぶどう畑が広がっており、winebuff娘は、たんぽぽの綿毛を取るのに懸命でした(苦笑)。

やすらぎの道の終点に多治見修道院墓地があります。この地で宣教師としての使命を全うされた神言会司祭、修道士の方々が眠っておられます。静寂が支配している厳かな雰囲気の場所です。

建物を入るとすぐに大聖堂があり、大聖堂入り口右手に小さな売店がありました。そこでwinebuffは、赤ワインを1本購入。後述するワインフェスタの陶器のグラスで後日ワインを頂きました。因みにワインは、赤、白、ロゼ各一種類のみで、それぞれフルボトルとハーフボトルがありました。ハーフでも良いかなとも思ったのですが、ハーフの赤が売り切れだったのでフルボトルを購入。正直ちょっと高いと感じたのですが、寄付のつもりで買いました。

ワインダイアリーのテイスティングメモ

さてさて、修道院を後にしたwinebuff一行は、次は腹ごしらえとばかりに移動を開始。事前にあまり調べてこなかったのですが、付近で車が停められる美味しいお店を探し、前日重ためのディナーを食べていたこともあり、あっさり和食をチョイス。やってきたこの讃岐うどん屋「たじみ庵」もちょっと変わっていて、太陽社電気多治見工場の敷地内にありました。工場の社員さんらしき人たちも多く、一瞬社食かと思ったくらいです。お昼時で人も多く、結構待たされたのですが、食事自体はうどんという事もあり、さほど時間は掛かりませんでした。

せっかくですからご当地っぽいものをと思い(と言いながら讃岐ですが)、味噌煮込みうどんを頼みました。見た目よりもあっさりしていて味噌のしつこさは感じませんでした。

winebuff的には、こちらのカレーうどんの方が好みで、こちらもさほど辛くなくあっさり系の味付け。体もホカホカ暖まるのでこれからの季節にぴったりです。

体も暖まったところで、それでは次のワイナリーへと参りましょう。岐阜県から愛知県へと車を進めます。県跨ぎとなりますが、これから行くワイナリーは多治見修道院と関係の深いところです。何故なら、多治見修道院のワインを醸造しているのが訪問予定の小牧ワイナリーだからです。修道院から車で20数分、15km程離れたところに小牧ワイナリー があります。このワイナリーも昨今の感染症対策でサービスを制限しておりオープンしているか少々不安だったのですが、よかった開いていました。

建物は、この様にショップとカフェ、多目的ホールの入っている棟と醸造施設の棟の2つに分かれています。小牧ワイナリーは、正式名称が「社会福祉法人AJU自立の家 小牧ワイナリー ななつぼし葡萄酒工房」といい、障害者の就労支援の場として愛知県小牧市に2015年にオープンしました。新進のワイナリーの様に思えますが、実は、2003年よりワイン事業に取り組んでいるそうで、元々は多治見修道院でワインを作っておられたとの事。現在は、ここ小牧ワイナリーと多治見修道院で、障害者の方々がぶどうの栽培と醸造、それに販売までされているそうです。このあたりは、ココ・ファーム・ワイナリーのこころみ学園と合い通ずるものがありますね。

まずは右手のショップに入ってみましょう。残念ながらカフェの方は現在休業中で、近日再開に向けて準備されているそうです。当初、ここでお茶かランチをと考えていたのですが、まあこれは仕方ありませんね。因みにゴールデンウイークに開催されるワイナリーのビッグイベント、春のぶどう酒祭りも今年は中止に。早く以前の様な日常が戻ってきて欲しいと切に願っています。

ワインのブランドは、「ななつぼし」。幸せを運ぶと言われるてんとう虫からとった「ななつぼし」が名前の由来だそうで、小牧産や名古屋産のぶどうの他に山形県産のぶどうを使ったワインがありました。オーストラリアに所有する畑のぶどうで作ったワインもあり、こちらはAJUワインとして販売。変わり種は、写真中央に見える「料理用ワイン」。ワイナリーで料理酒が売られているのはあまりない上、普通にワイン用フルボトルで販売されていたのには少々驚きました。

そして、ワインの購入者には、もれなく陶器製のワイングラスをプレゼント。太っ腹と思ったのですが、よく見ると多治見修道院のワインフェスタの刻印が入っています。それも10年以上前のもの。余り物の処分かよと突っ込みたくなりましたが、AJUワインを1本購入したということもあり有り難く1つ頂戴しました。(前述の写真参照)

ワインダイアリーのテイスティングメモ

さて、無事ワインもゲットしてショップを出てふと横を見ると、二つの棟の間に通路らしきものが。「ぶどう広場 見学順路」と張り紙がしてあり、誘導の矢印も。奥の方に何かあるようですので、見てみることにしましょう。

右手には、かなり年季の入ったワイン樽が二つ。塗装し直しているようですが、ワインが入ってる様には見えません。確信はありませんが、多分、使い終わった樽をテーブル等に再利用しようとしているのでは無いでしょうか?

左手には、飛ばされないよう生木の重しを乗せたテントが。よく見ると小さな説明板がついています。「アパッシメント製法(日陰干し)実験場」と書いてあります。日陰の「日」の部分に「ここ重要」とわざわざ注釈が打ってありました。アパッシメントは、ご存知の方もいると思いますが、イタリアやチリなどで行われる、完熟ブドウを3、4ヵ月陰干しし水分を取り除いて糖度を上げる手法です。糖度の高いぶどうを使った方が良いワインが出来るのですが、いちいち陰干しをするのは手間と時間が掛かります。しかし、小牧ワイナリーでは、「陰干し」ではなく「日陰干し」なんですね。ぶどうを日に当てて乾燥して良いのでしょうか?説明には、更に「10月から2(3)月まで。絞って発酵まで行けたら儲けもの」とありました。なかなか面白い取り組みですね。

通路を抜けると裏手に出ます。「ぶどう広場」はいずこに?どう見ても作業場で、薪の様なものが散乱しています。人っ子ひとり見えません。その向こうには、既に収穫を終えたぶどう畑が広がっています。写真には写っていないのですが、施設の前が広場になっており、子供の遊具やアスレチック器具が設置されていました。winebuff娘も遊具で遊びましたし、車でやってきた家族も何組かいました。ワイナリーは近隣住民の憩いの場としても利用されている様子でした。

おまけ:帰りの新幹線では、富士山がとても綺麗に見えました。

今回は、というか今回もワイン過疎地(もとい新興地)のワイナリーに足を運びました。町おこしの6次産業の一助としてワイナリーを起こす、または脱サラして自己実現のマイクロワイナリーを起こすなどというパターンは多いのですが、この様に障害者支援の一環としてのワイナリー起業はそれほど多くなく、とても印象的でした。また、その様なワイナリーが修道院とつながり協力しあっているというのも稀有な例かと。正直ワインの味は優れていると言い難いのですが、修道院ワインもななつぼしワインも今後に期待したいと思ったwinebuffでした。

[winebuff]

瀬戸内ワイナリー紀行


winebuffです。最近は、世の中もだいぶ落ち着きを取り戻してまいりましたが、皆さまお変わりないでしょうか。今回は、初めて広島、愛媛のワイナリーに行ってきました。瀬戸内海のしまなみ海道を通ってシーサイドドライブを楽しみながら、付近のワイナリーにも訪れるというなかなか魅力的な旅行です。皆さまご存知の通り、瀬戸内地域は、あまりワイナリーは多く無く今まで訪問する事はありませんでした。海沿いの土地だとお世辞にも葡萄の育成に適しているとは言えませんし、そもそも海と山に囲まれ耕作地が十分確保出来ないと思われます。とは言え、昨今のワイナリーブームでこの辺りにも新しいワイナリーがいくつも出来てきたようです。今回お邪魔した二箇所のワイナリーもどちらも新進気鋭?のワイナリーです。それでは、早速、レンタカーを借りて出発です。

広島空港から車で30分ほど離れた海沿いの町にやってきました。ここは風光明美な三原瀬戸を目前に臨む広島県三原市須波西地区で、ワイナリーは元々は造船所だったところを再開発したそうです。日本全国のワイナリーを巡ると、長閑な雰囲気の昔ながらの工場みたいなところもよく拝見するのですが、ここは建物のデザイン一つとってもかなり「攻めて」いるクール系?ワイナリーです。

入り口からすぐ脇に「器と陶芸教室」の建物があり、ここがワイナリーかと一瞬間違えそうになりますが、そのままやり過ごして進むと瀬戸内醸造所の建物が見えてきます。この辺は、雑草の生えかけたアスファルトが剥き出しの空き地でやや寂しさを感じます。

左手の醸造所の施設と右手のショップ&レストランの建物を繋ぐ中央に入り口があります。このご時世なので、新型コロナ感染症予防の為の立て札が立っています。レストラン利用者とワイン購入者以外は立ち入り禁止との物々しい文言にも負けず、先ずはショップに入ります。

近くで拝見すると、この建物のこだわり方がよく分かります。某有名建築事務所のデザインで、外壁は瀬戸内の島嶼部などで使われる焼杉が使われているそうです。そのこだわりは、建物のデザインに止まらず、内装はもちろんレストランで供する器の一つにまで細部に及んでいます。

まずは(というか、開いている入り口がここしかなかったので)、右手のショップ&レストラン棟に向かいます。このレストラン「mio(澪)」は、水面を船が走る航跡という意味から名付けられたそうです。もちろん瀬戸内醸造所のワインに合うフードを提供する意味合いが大きいのですが、ワインと同様、瀬戸内という地域を味覚で体験というコンセプトで料理も考えられているようです。東京の某有名シェフが料理を監修し、ひろしまシェフ・コンクールの成績優秀者のシェフが調理するという気合の入りようです。

入り口付近に立て看板が置かれています。本日のランチメニューでしょうか。最初、このレストランでランチを取ろうかと考えていたのですが、事前予約が必要な時間制のコース料理のみで時間も掛かるし、せっかくワインとのペアリング前提の料理なのに車移動なのでワインも飲めないとあって断念。今回は、ショップでワインを調達するのみと考えていました。予約無しでOKのティタイムに供されるかき氷やパフェなんかも美味しそうでしたが・・・。

建物に入ってすぐ右手にショップがあり、瀬戸内醸造所の各種ワインが陳列されています。白・赤ワインにスパークリング、それからシードルも。少し意外だったのは、シードルに結構力を入れられていた事です。リンゴのお酒ですが、リンゴと言えば青森や長野、山形といった寒い地域が思い浮かびます。(長野や山形はワインの4大名産地でもあります)。失礼ですが、広島もリンゴ取れたんだというのが最初の感想だったのですが、生産量等では全国10数位程度で結構取れるんですね。陳列されていたシードルは、広島県庄原市高野町産、同東城町産、そして山口県山口市阿東徳佐産のリンゴで作られており、それぞれの名前を冠していました。

奥の方には、レストランがあり、姿はよく見えませんでしたが、雑談するお客さん方の声が聞こえてました。カウンターのブルー塗装は海をイメージしているのでしょうか、平日という事もあり店内は閑散としていましたが、シンプルだけど木の温もりも感じられるセンスの良い内装に感心しました。このレストランで面白かったのは、コース料理の締めで自家製手打ち麺が出るそうで、毎日ここのキッチンで岡山県産の石臼で引かれた小麦を使って手打ちしているそうです。ああ、食べたかったなあ・・・。

レストラン入り口左手には、試験管の様な細い花瓶に植えられた一輪挿しがセンス良く並び、後方の海が借景になって雰囲気を醸し出しています。こういう小物ひとつ取ってもセンスの良さが伺えますね。winebuff的には、若干スノッブで敷居が高く感じられるところもあるのですが、地方でこんなお洒落なお店に出会えるとは(失礼な!)やはり旅は新しい発見が沢山あって楽しいですね。

そんな事を考えながら店内をブラブラしていたところ、お店の方から「ワインお好きなんですか?」と声を掛けられました。ええ、好きですとも、大好きでございます。スタッフの方は、それからしばらくwinebuffの自慢話を聞いてくださっていたのですが、おもむろに「それでは醸造所をご案内しましょうか?」とのありがたいお言葉を頂きました。もちろん快諾。早速、反対側の醸造所の建物に案内して頂きました。

案内は、ショップスタッフさんではなく、醸造責任者の行安さんに行って頂きました。行安さんは、元々世羅ワイナリーの醸造責任者を勤められた方で経験豊富な方です。なぜ瀬戸内醸造所に?という問いには、新しい挑戦が出来るのが魅力とお答え頂きました。実際、小規模のワイナリーなので行安さんが基本的に一人で醸造所をマネージされているようでした。

年間1.5万本の小規模ワイナリーの醸造所は、かなりコンパクトにまとまっています。瀬戸内の葡萄だけでなく、中国地方の葡萄なども使用されているようです。地元の葡萄に拘っているのではなく、良い素材を使って良いワインを作りたいというシンプルな考えは、winebuff的にも好意が持てます。今は、契約農家さんからの調達のようですが、地元三原市に自社畑も開拓中とのことで、三年後の収穫を目指して奮闘されているとか。

タンクに氷が張っていますが、これは酒石酸を出さないように冷やしているのだそうです。因みに、今年の葡萄は、雨が多くてかなり厳しい出来とのこと。ラインナップは、赤が多いのですが、今年は土地の食材に合うライトテイストな作りを目指すと仰っていました。既にスパークリングワインも作られていて、定期的にボトルを回すための「ピュピトル」と呼ばれる木製の装置が設置されていましたが、今後はオレンジワインにも挑戦したいとも。なかなかチャレンジャブルな方でした。

説明して頂いた後、ショップで今晩の晩酌用ワインにと「三原ニューベリーA」を一本調達。ニューベリーAは、生食用とし優れた品質を持つ種無ぶどうで地元では「佛通寺ブドウ」として有名なのだそうです。そのぶどうを使用して瓶内二次発酵によるライトテイストな発泡ワインが出来上がりました。

ワインダイアリーのテイスティングメモ

まだ少し時間があったので建物の庭側に出てみました。造船所跡地ということなので、まだ船台や桟橋の様なものが残っています。さすがに風光明媚と謳われるだけあって島の点在する海面は鏡の様に凪いで、まるで風景画の様相を呈していました。

海側から振り返ってみると、ゴツゴツと剥き出しの岩が雑草が目立ちます。ここでバーベキューもできる様ですが、当然この辺も今後開発されるのでしょう。細かい部分にも妥協をせず理想のワイナリー、ワイン作りに邁進する新進の瀬戸内醸造所さんには期待しかありません。今後も注目のワイナリーのひとつです。

さて、瀬戸内醸造所を後にしたwinebuff一行ですが、次のワイナリーに向かう前に腹ごしらえが必要です。せっかく広島に来たのだから地場の美味しいお店に行きたいと思うのですが・・・。

そこで、やってきたのが尾道の「ジョンバーガー&カフェ」。三原から尾道まで足を伸ばしましたが、これはしまなみ海道を通る必要があった為で、付近に駐車スペースのあるお店をと考えて駐車場完備とあったここにしました。木製の大きな本棚とステージを備えた木の温もりある店内で、注文後に作るハンバーガーやsandwichが人気です。音楽好きのマスターが落ち着いた所作のナイスシルバー?で、おもてなしもグッドでした。早速、ハンバーガーを注文。注文後に作り始めるとのことでしたので、こじんまりとした綺麗なお庭を眺めながら待つこと暫し10分程度。

やってきたのが巨大バーガー、というほどでもなく想像よりも小ぶりのハンバーガー。でもそのまま食べると口が裂けそうになるので、ナイフとフォークで切りながら頂きました。東京でもハンバーガーの名店がいくつもあるのでさほど感動はありませんでしたが、雰囲気の良いお店プラス旅の高揚感で満足して食べられました。

さあ、お腹も満たして元気も回復しました。ここからは車でしまなみ海道を渡って行きます。残念なことにかなり時間が押していたので、展望台等で風景写真を撮る暇もなく、文字での説明になりますが、島から島へ大きな橋を伝って進んでいきます。本来のしまなみ海道は、広島と四国の愛媛県を繋ぐ有料道路なのですが、我々は、途中から本道を外れて呉方面に向かいます。何故なら目指す二軒目のワイナリーが瀬戸内海の大三島にあるからです。

まず尾道大橋を渡って向島に向かい、因島大橋を渡って因島に。さらに生口橋を渡って生口島を横断し、多々羅大橋を通過すると目当ての大三島に到着です。本来ならここから大三島橋を通って伯方島に上陸し、伯方・大島大橋を超えて村上水軍で有名な大島を経由し最終的に四国に到達しますが、我々はここで海道を外れました。長閑な島をドライブしやってきたこの「大三島みんなの家」は、大山祇神社参道に建つ元法務局を改修した建物だそうで、かなり年季が入っています。winebuffの子供の頃にはこんな家ばかりだったのですが、都心ではもう見ることも難しい昔ながらの木造建築です。

運良くお店が開いていましたね。それでは、お邪魔してみましょう。ここ大三島でも他の地方同様、過疎化の問題等で町の活性化が重要課題となっており、様々な取り組みがなされています。なかでも「大三島プロジェクト」と題した各種の取り組みは、大手メディアでも取り上げられ有名になりました。廃校になった小学校をリノベートしてホテルにしたり、建築ミュージアムを建てたりするプロジェクトに加え、放棄されたみかん畑を再生しワイン用のぶどう畑として六次産業の一助とするというプロジェクトも進行中です。

建物内は、法務局当時のものをできるだけ活かした作りになっているため、winebuffにとっては懐かしい感じです。入り口すぐのカウンターは、お役所っぽいいかめしい雰囲気ですが、右手のオフィススペースでは、数人のスタッフ?の方がオープンにわいわい熱く語り合っていらっしゃいました。接客して頂いたスタッフの方は東京からの移住者らしく、地元の人以外にも多くのUターンや移住者の方が集ってこの島の未来を作ろうと頑張っていらっしゃいます。

因みにここは愛媛県ですので、全国的にもみかんの名産地として有名です。大三島でもあちこちにみかん畑があって良質のみかんが採れるようですね。

瀬戸内醸造所では、三種類の産地のリンゴのシードルが販売されていましたが、こちらは三種類のみかんワイン、ネーブルスパークリングが売られていました。一見ジュースの様にも見えますが、皮ごと搾った果汁を発酵し瓶内二次発酵で仕上げたアルコール度数6.0〜6.5%の立派なお酒ですのでお間違えなきよう。

そのほか、野菜のピクルスやカシューナッツ、大三島に関連の深い書籍なども陳列されていました。

そして肝心のワインですが、こちらも主力はベーリーA。年間を通して降雨量が少なく、夏季に晴天が続く少雨の瀬戸内気候は山梨の勝沼と非常に似ているそうで、ぶどうの成長にとって最高の条件です。写真の「島紅」は、もちろん大三島の畑で育った葡萄から作られた大三島ワインでマスカット・ベーリーA100%の樽熟成です。 

ワインダイアリーのテイスティングメモ

「大三島みんなの家」プロジェクトには、建築事務所の方々が携わっているようで、とてもセンスが良いです。無理に背伸びせずその土地柄に合わせたデザインを少し洗練させた様な、肩にあまり力の入っていない穏やかさが好感が持てました。東京とは時間の流れの早さが全然違う印象で、こんなところでのんびりと暮らしてみたいと思いました。(実際は、土地の方々は大変なご苦労もされていらっしゃるのでしょうが・・・。)睡眠時間を削って生きているwinebuffの切実な思いです。はい、私事で申し訳ありませんでした・・・。

本当に時間が無かったので、(winebuff娘が久々にゴネる展開もあり)、話もそこそこに車を飛ばしてフェリーの港まで。途中道を間違えると言う致命的なアクシデントも発生したのですがなんとか船の時間に間に合いました。遅れると2時間以上船が無いので久々に必死の走りでした。そしてフェリーで大三島を後にすると、またまた島を伝って無事広島へと戻って行きました。

おまけ:ホテルへ向かう最中、呉市に立ち寄りwinebuffが行きたかった海上自衛隊呉史料館、通称「てつのくじら館」にも行きました。本物の潜水艦(退役してますが)に入れるのは日本でここだけとあって以前から行きたかった場所です。(winebuffは昔ミリオタだったもので。)日もとっぷり暮れ暗くなってからようやくホテルへ到着し長い一日が終わりました。

今回の瀬戸内のワイナリー紀行は、時間の都合もあり二軒だけでしたが、とても印象深いものでした。瀬戸内醸造所と大三島みんなのワイナリーは、どちらも若い新進のワイナリーなのですが、コンセプトはかなり違うように感じました。地場の葡萄にあまり拘らず、既存の概念の囚われず新しい物を生み出すクール系の瀬戸内醸造所と、大三島の活性化が第一の目的で地場の畑や葡萄を活用する、地元の人との交流・協力を重視するほっこり系?の大三島みんなのワイナリー。でもどちらもワインにかける熱量がとても多く若い方々が生き生きとして取り組んでおられました。これからもどちらのワイナリーも応援したいと思ったwinebuffでした。

[winebuff]

千葉の新しいワイナリー


みなさま、お元気でしょうか?winebuffです。

相変わらず新型コロナウイルス感染症が収まらない昨今、気軽に旅行できない日々が続きます。コロナ前は年に数回は遠出をして各所のワイナリーを巡っていたのですが、コロナ後は基本的に近場がメイン。少なくとも飛行機を利用した遠征はNGとなっております。去年、今年と車や電車を利用して関東近辺のワイナリー訪問を繰り返していたのですが、少々ネタ切れの雰囲気も・・・。しかし、愚痴を言っても仕方ありません。気を取り直して、今回はかなり近場のワイナリーを攻めて?みました。

winebuff一行が車でやってきたのは、千葉県多古町にある「船越ワイナリー」。2020年に設立されたという出来立てホヤホヤの新進ワイナリーです。なんと千葉県でワイン醸造所の設立は、齊藤ぶどう園に次いで90年ぶりのこと、ずいぶん待たせましたねえ(ほんとに待ってたのか?)以前、長野の某ワイナリーを訪問しようと事前調査調していた際オーナーが書かれた設立理由を拝読したのですが、ここ多古町でも同様に主力の農業に関して高齢化や後継者不足などの問題が発生しており、町おこしと農業活性化の為にワイナリーを立ち上げたそうです。

多古町の船越地区に立ち上げたので「船越ワイナリー」ですか。メンバーの平均年齢が還暦を超えている事に加え、ワイン作りの経験は一切無しという一見無謀な挑戦の様にも思えますが、反対にその年齢で新しいビジネスにチャレンジしようとする精神が素晴らしい。winebuffは感服いたしました。

ルートを確認したところGoogle Mapでは、目的地がただの雑木林だったので一抹の不安があったのですが、実際訪れてみると、(ワイナリーに到る道がちょっと狭かったのですが)ピカピカの建物が出迎えてくれました。この地区でも以前は、葡萄農園が10軒ほどあったとの事なので葡萄自体の栽培は可能なのでしょうが、(winebuffが見た限りでは)付近に葡萄が生茂る豊かな農耕地は確認できませんでした。上述した理由で葡萄農園も減少しているのでしょうか。今まで国内、海外のワイナリーを幾度となく訪問しましたが、ワイン作りが盛んな地域は、ワインで潤っており総じて町が綺麗に整備されていました。この船越地区でもそうした未来を夢見てワイナリーを立ち上げられたのでしょう。5年後、10年後、この地区がどう変わっていくかとても興味があります。

入り口で見えた白い建物が醸造設備を収めた施設になります。ワイナリーと一言で言っても色々な種類があり、自社畑と自前の醸造設備持つ大手のワイナリーもあれば、葡萄栽培のみで委託醸造するところや醸造設備のみで葡萄は契約農家から買い付けるところもあります。船越ワイナリーは醸造設備を有していますが、現時点では葡萄は各所から供給して貰っています。しかし、数年後には(頂いたパンフには2024年辺りと書かれていましたが)、多古町産のぶどうでワイン作りを開始されるそうです。


スタッフの方の許可を得て内部を拝見しました。真新しいステンレスタンクがいくつも鎮座していらっしゃいます。去年の秋に初めての醸造を行ったそうで、まだ機材全般が新しいですね。昨年は、山ぶどうとマスカットベーリーAの醸造を、種も皮も一緒に発酵させる「かもし発酵」で実施したとの事。初年度ながら、日本酒を作る際もろみを入れてお酒を絞る「酒袋」にぶどうを入れて絞るという「フナコシstyle」なるものを発明。モチベーションの高さがどれほどのものか伺えます。
もう少し詳しく説明すると、今回は、茨城県産「マスカット・ベリーA」2.5トン、岩手県産「山ぶどう」2.5トン、山形県産「山ぶどう」1.5トンを絞り、3.8トンの絞り汁を7つのタンクに分けて発酵させたそうです。


醸造施設の真向かいにあるのが、これも真新しいコンクリートの建物で、ここは、貯蔵施設になるそうです。まだ中は空っぽで、ステンレスの棚が並んでいますが、近い将来ここに沢山のフレンチ樽が積み上げられるのでしょうか、楽しみですね。ただ、この施設は自然貯蔵なのでしょうか、訪問した日もそうだったのですが、夏の暑さが気になります。もちろん、何かしら対策をされるとは思いますが。

ところで、最近話題によくなる「SDGs」。winebuff娘の通う幼稚園でも積極的な取り組みを行っていて度々メディアでも取り上げられる位なのですが(SDGsと称して使っている部屋の電気を消しまくるのは止めて欲しい・・・)、船越ワイナリーでも同様の取り組みとして、ワインの絞りカス(皮と種)を廃棄では無く肥料として活用されているそうです。カスといっても圧搾機で絞ると40kgほどにもなるらしく、その分量も馬鹿になりません。どれだけ最新の機器を使用し科学に裏付けされた手法で作ろうと、ワインはブドウの絞り汁を発酵させて作ると数千年昔から変わらない原始的な作り方なので、持続可能な取り組みとは相性が良いのでしょう。

ワイナリーの入り口付近にある警備員が待機するような掘立小屋(スミマセン)が実は、事務所です。訪問前に色々とネットで調べていた際、9月度は(忙しい為)ワイナリーでの販売を休止との告知もあり、当日も多分担当者の方は不在だろうと思い、近くの道の駅でワインを購入する予定でした。とりあえずワイナリーで写真を何枚か撮ってすぐに道の駅に移動しようとwinebuffは車すら降りなかったのですが、まさかのスタッフの方発見!色々とお話を伺う事が出来ました。

初ビンテージのワインは、この三種類でいずれも赤ワインです。岩手県久慈産「山ぶどう」を使ったワインは水色ラベル。綺麗な酸味が特徴的とありますが、アルコール度数も低めで熱い夏の日に冷やしてゴクゴク飲むのも良さそうです。茨城県常陸太田市産「マスカットベーリーA」を使ったワインはピンクラベル。すっきり軽やかでバランスが良く優しい口当たりと説明があり、日本食、特に醤油系のフードとの相性が良さそうです。山形県月山産「山ぶどう」は濃青ラベル。三種の内で一番しっかりとした、肉料理やコクのある料理とのマリアージュが最高とのこと。winebuffは、迷わず?山形県月山産「山ぶどう」を1本購入。早速、その晩、テイスティングさせていただきました。

ワインダイアリーのテイスティングメモ

購入時、事務所にお邪魔をし、雑談をしながらふと横を見ると、見かけないラベルのボトルが並んでいるのを発見。聞くと次ビンテージ用のラベルとか。しかも種類が二種類増えています。追加となるワインが何かお聞きするのを失念してしまいましたが、ラベルのデザインに付いて説明をお聞きしました。ラベルに描かれているのは、カワセミで、多古町を南北に流れる栗山川にも生息する鳥だそうです。カワセミは水の綺麗な川に生息する鳥で、いつまでも綺麗な水であることを願って、多古町に縁のある黒板アートの「すずきらな」さんに描いて頂いたそうです。

ワイナリーで頂いたパンフにワインについての詳細な説明が書かれていました。そこでは触れられていなかったのですが、自社畑は、10年位前までブドウ畑だった2,500平米の農地を使い「ヤマ・ソービニオン」の植樹を既に開始。今年は更に10,000平米まで拡大し数年後の収穫を見込んでいるとのこと。それが実現すると名実ともに「多古ワイン」が誕生し、念願の6次産業にむけて大きな前進になることと思われます。

最後、おまけですが、ワイナリー入り口付近のフェンスにぶどうを見つけて思わず写真を撮りました。丸々とした大きな実がたわわになっており、おお、立派なぶどうが育っているなと感心したのですが、よく見たらフェイク。ちょっとがっかりしました。(苦笑)

今回は、車で日帰りできる距離のワイナリーを訪ねました。近年、winebuffが住む東京にもワイナリーなるものが幾つも誕生しましたが、飲食店の付加価値作りや、ぶどう栽培を一切やらない話題先行型のマイクロワイナリー等は、個人的にあまり興味が湧きませんでした。(決してそれらの業態を否定している訳ではないので誤解なきよう。)船越ワイナリーについても、どれほどのものか事前に分からなかったためあまり期待していなかったのですが、ワイン作りにかける情熱を十分に感じましたし、何より飲んだワインが美味しかったのは、とても嬉しい出来事でした。スタッフの方の話では、ここ千葉県で更に2箇所、新規ワイナリーが設立されるらしく、今後ワイン不毛の地だった千葉県(失敬な!)に新しい流れが来る事を予感しました。

[winebuff]

アルプスあづみの公園 大町・松川地区


安曇野周辺のワイナリーへ出掛けた帰りに、幼稚園年長児の娘が遊べるように「アルプスあづみの公園 大町・松川地区」に立ち寄りました。
さすが国営公園なだけあって、2日間利用できる入場チケットが大人一人500円でした!
しかも中学生以下は無料です。
今回訪れた大町・松川地区と、ここから車で30分の堀金・穂高地区と2か所のアルプスあづみの公園があり、どちらを利用しても2日間利用できるチケットです。
1日券が大人一人450円なので、2日間500円だと、かなりお得です。

まずは子供が遊べる「林間アスレチック」を目指しました。
徒歩だと20分ほどかかるので、ロードトレインも走っています。
スタッフの方が行きは下り坂で帰りが上り坂だから、帰りにロードトレインに乗ったほうがいいよ、と教えて下さって、行きは徒歩で向かうことにしました。

このような森林の小道を歩いて行きます。
6月中旬の週末で、前日の雨もあり木の下の日陰は涼しく、日なたに出るとわりと日差しが強く日焼け止めと帽子が必要な爽やかな1日でした!

こちらの公園に来たら、必ず歩いて欲しいのが「空中回廊」です!
森林の中の橋の上を歩きながら、高い目線から自然観察できます。

空中回廊入り口

途中「くもの巣遊具」や「森の体験舎」を通りますが、こちらは後回しにして20分ほど森林浴しながら歩いて「林間アスレチック」へ到着しました。
すべり台、つな渡り、ロープウェイ、なんでもある子供と一緒に大人も楽しめるワクワクいっぱいのアスレチック広場です。

こんなに楽しい「林間アスレチック」なのに、他の子供達が意外とすぐに撤収していきます。
他にも何かあるのかな、と思っていると「大草原の家」がさらに楽しい遊び場でした!
建物ごと、プレイハウスになっているような室内の遊び場で、こちらは天気に関わらず遊べます。
館内は2階建てなのですが、階段で2階へ上って、ネットジャングルジムを使って下りてきたり、かくれんぼも楽しい建物遊具でした。
ボールプールもあったようですが、ご時世柄、訪れた時はボールは撤去されていました。
お弁当を食べることのできるスペースもありました。

娘が「大草原の家」で遊ぶことが楽し過ぎて…連れて帰るのに苦労しました。
ちょうど窓から出発待ちしている「ロードトレイン」が見えたので、なんとか連れ出しました。
緑の森林に映えるカラフルなトレインで、子供からご年配の方まで幅広い年代の方々が利用していました。

ロードトレインからの景色を楽しんでいると、あっという間に「森の体験舎」に到着しました。
ここで「五平餅づくり」体験をしました!
一本200円です。
手洗いを済ませた後、ラップに包まれた、ご飯茶碗一杯分くらいのお米を渡され、棒にコネコネくっつけていきます。
どの作業もスタッフの方が手伝って下さいますので初めてでも安心です。
その後、少し焦げ目がつくくらいまで2度焼きして、特製の味噌だれをつけていただきます。
なんでも、昔の人々が朝の冷めたご飯を山に持って行って、山で焼いて食べたのが元だそうです。
なかなか体験できない貴重な機会でした!



腹ごなしもして、またテクテク歩いて、公園入口を目指します。
帰り道には「くもの巣遊具」で遊びました。
わりと慎重派な娘、はじめは下からくもの巣を登ることを怖がっていたのですが、だんだん慣れてくるにつれて登れるようになり達成感いっぱいの様子でした!


もっとたくさん遊ばせてあげたかったし、娘も後ろ髪をひかれる思いの様子でしたが…
時間の制約もあり「帰り道にアイスクリームを買って食べよう!」とつって、なんとか連れて帰りました。
今回は急ぎ足で周ったので、是非また再訪したい公園です。

ところで、2日間チケットのもう一日はどうしたか、といいますと、アルプスあづみの公園 堀金・穂高地区へ遊びに行きました。
あいにくの雨でしたが、6月5日~7月14日(2021年)の梅雨時期に合わせて室内で遊べる「ちびっ子遊び広場+」が開催されていました。
あづみの学校多目的ホールのダンボールランドで数時間遊びました。
お友達もできて、こちらでも楽しそうでした☆

公園チラシ

ご紹介した以外にも見どころいっぱいなので、お子様連れの方も大人だけで訪れる方にもお薦めの公園です!

[pinomayu]

北アルプス地方のワイン紀行


こんにちは、winebuffです。
毎年恒例のワイン紀行ですが、昨今は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、海外旅行はおろか飛行機を使った国内の遠出も難しくなり、車を使った近場の旅行が増えています。
今回もレンタカーを駆使して長野県のワイナリーへと足を運びました。昨年は、八ヶ岳周辺だったのですが今年は北アルプスの玄関口である大町&安曇野にやってきました。

安曇野ICで高速を降りたwinebuff一行は、名物のお蕎麦を食し(ここに来たからにはやはり蕎麦を食べねばなりませんが、ワインに関係ないのですっ飛ばします)、その後ホテルへ移動です。
とその前に今晩のワインを入手せねばなりません。感染症対策でホテルでもアルコールの提供がかなり厳しく制限されており、本日訪れるホテルでもバーは休止、レストランも20時30分でラストオーダーです。外ではゆっくりワインも飲めませんので、部屋飲み用ワインは必須です!

そこでやってきたのが宿泊するホテルの近隣、JR信濃大町駅前商店街にある横川商店です。2005年に起こった商店街火災の為に築300年の由緒ある店舗も燃えてしまったそうなのですが、新しい店舗でも県内の日本酒やワインを豊富に取り揃えて元気に営業されていました。

ところ狭しと並べられたお酒の数々。どちらかというと日本酒の占める割合の方が大きいのですが、ワインも負けていません。長野県産のワインが鎮座ましましていらっしゃいます。
みたところ、アルプスワインのボトルが多いような。もちろんアルプスワインでも良かったのですが、アルプスワインは、確か塩尻の方だったはず。もう少し近場のものがあればと思って探していたところ、ありました!

北アルプス山麓大町市産100%メルロー使用のワインです。醸造は委託でスイス村ワイナリー製となっていますが、葡萄はここ大町のぶどう生産組合のものを使用しています。商品名にある「Nishina」は、大町市民の公募により決まったそうです。今晩この地で飲むワインとしては最適、迷うことなく購入しました!

ワインダイアリーのテイスティングメモ

さてワインも入手して気分良くやってきたのは、ここ「ANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよん」です。写真の背景からもわかるように、北アルプスの自然に囲まれたマウンテンリゾートで、立山黒部アルペンルートにも近く、スキーリゾートとして有名な白馬エリアへのアクセスも便利な絶好のロケーションが売りです(一部、ホテルの紹介文の受け売り)。

このホテルは以前はリーガロイヤル系列の「くろよんロイヤルホテル」だったのですが、2020年に国内2軒目のホリデイ・インリゾートとしてリブランドオープンしました。リゾートホテルなので全体的にゆったりとした作りで、シンプルですが暖かく落ち着いた雰囲気です。もともと部屋数も少ない上にシーズンオフという事もあり、とても静かで快適な時間を過ごせました。ホテル玄関入って左手にチェックインカウンターがあり、正面奥には、あかあかと燃える暖炉を配したラウンジがあります。

実は当初、スーペリアツインで予約をしていたのですが、先方の都合で一部予定がキャンセルとなってしまい、そのお詫びとしてスーペリアツインからデラックスツインにアップグレードしていただきました。部屋の広さが49平米とジュニアスイート並みの広さがあり、エキストラベッドを入れてもこのようにかなり広々としています。

そして、ベランダのスペースにもかなり余裕があり、青々と茂った木々を眺め小鳥のさえずりを聞きながら優雅に朝食も可能です。(色々な意味で余裕の無いwinebuff一行は、やりませんでしたが・・・。)

ホテル内には、通年使用できる温水プールがあり、水流マッサージ機能付きのジャグジーや、現在は中止されていますが岩盤浴等もありました。二日間ともほぼ貸切状態で、曲面を含むと20mにもなる広々したプールを独占使用!

お次は、我々的にはとても重要なキッズ用施設です。キッズ&ファミリーフレンドリーとして知られるホリデイ・インリゾートだけあって、 子供を楽しませるサービスも手抜かりなく用意されています。ホテル一階にある「キッズクラブ」は、木の風合いを活かした優しい内装の室内に、大きな木製遊具や様々な知育玩具、大型スクリーン等を備え、小さなお子さんが長時間遊べるようになっています。winebuff娘もここに入り浸っていたのですが、専ら寝っ転がってスクリーンに流されているディズニー映画を眺めているだけでした・・・。

ホテルの部屋で一休みした一行は、ホテル内を探検したりホテルの近隣を散策して自然に触れ合ったり、ゆったりとした時間を過ごした後、19時30分より待望の夕食と相成ったのでした。ホテルの唯一のレストラン「ボタニカ」でのディナーは、メインのみ事前にチョイスするビュッフェ形式です。当然のことながら厳重な感染症対策が施されており、席もグループ毎に隔離、ビュッフェメニューを取りに行く際もマスクと手袋は必須です。

何とこのディナー、12歳以下のお子様は、親同伴でタダというキッズフレンドリーっぷり。「素晴らしい」の一言ですが、ただ一点、我々の食事開始が遅かった為か肝心のビュッフェメニューが貧弱で(品切れ状態のものも多し)、選択の余地があまりなかったのが不満点でした。流石にスタッフも不味いと思ったのか、エクストラでパスタを作ってくれたり、グラスワインを増量して注いでくれたり。ホスピタリティは良かったのですが、客も同時期より少なめでボリュームコントロールは難しかったように思います。

とまあ特殊事情はさておき、部屋にワインを確保しているとはいうものの、せっかくですからここでも一杯頂いて参りましょう。グラスワインの種類は少なめですがちゃんと長野ワインをオンリストしています。そろそろ白ワインの美味しい季節でもあり、winebuffは、井筒ワインのシャルドネをチョイス。

ワインダイアリーのテイスティングメモ

まず最初に前菜をセレクト。あまり美しくない変な取り合わせになっていますが、前述の事情もありどうかご容赦を。あまり種類は豊富ではありませんでしたが、どれも基本的にクオリティが高く美味しくいただきました。写真左手の皿には、フランスパンに各種チーズ、ローストビーフに刺し身、そして何故か手まり寿司も・・・。

メインは、信州サーモンのポワレ白ワインソース添えと、信州ポークのロースト自家製アップルソース添え。代わり映えしないコメントで恐縮ですが、どちらも美味しかったです!右手写真の上に見えるのが例のパスタ。カルボナーラでこれもかなりのクオリティ。食事の後、温泉に入ってゆっくり部屋飲みと、久々の休暇を満喫したwinebuffでした。

一夜が明けて二日目。この日は朝から雨模様でちょっと残念。しかしスケジュールが色々詰まっているwinebuff一行は、雨中をものともせずお出かけです。昨晩飲んだワインがスイス村ワイナリー製だったのですが、調べてみると近隣にあるじゃないですか。ということで早速スイス村に足を運びました。

こちらは、安曇野スイス村。尖塔が印象的な建物ですが、要はお土産物屋にファーストフードコーナーが付いたよくある売店です。生憎の天気でお客さんもまばら、ちょっと寂しい雰囲気でした。品揃えも豊富とはいいがたく・・・。ちなみにここは、ワイナリーの施設ではなく、広い駐車場と道路を挟んだ反対側にワイナリーの建物があります。

スイス村なのになぜか併設されているラーメン屋やそば屋、多目的ホールの建物を通り過ぎてどんどん行くと、こんな立て看板が。フムフム、右手の方に行けとおっしゃるか。左手には乗馬レッスンが受けられるホースランドなるものも。ここにはコンセプトを無視した謎の施設が色々とありますな。

少し歩くと見えてきました。こちらも先程見た安曇野スイス村のような建物で、一見すると教会のようにも見えます。駐車場には一台の車も無く辺りは静まり返っており、ちょっと不安になるwinebuffでしたが、気にせず進みます。

正面玄関についたwinebuffが見た衝撃の結末は!というほどのものでも無いのですが、要は休業中という事でワイナリーは閉鎖されておりました。どうりで週末だというのに人影ひとつないと思った。トホホ・・・。後日HPを拝見すると昨年の4月26日よりワイナリーの売店は無期限休業とのことでした。こんなところにも新型コロナウイルス感染症拡大の影響があるとは。

さてさて、気を取り直して次に参りましょう。スイス村でお土産などを購入して次へと向かったのは、山辺ワイナリー。ここは、同じ長野県でも中央の松本市にあって、北アルプス地域からは少々離れています。わざわざ足を伸ばしてやってきたのは、近隣のワイナリーでは珍しい併設のレストランでランチを取ろうという魂胆でした。昨今の感染症対策でワイナリー自体を閉めているところも多く、ましてやランチや宿泊などかなり敷居が高いと思いますが、山辺ワイナリーのレストラン「マリアージュ」は元気に営業中でした。

週末ですがランチメニューもやっています。車ですし流石にコース料理はパスさせて頂いて、日替わりランチでも頼もうかな。そう言えば、昨日ランチに食べたそばもホテルのディナーもそんなに高価な食事ではなかったのですが、素材が良いからか、単に旅の雰囲気からか、ハズレが無いというか満足いくレベルのものが多かったような。ですのでこの「マリアージュ」でも期待大です。

店内は落ち着いた雰囲気というか、我々が最初のお客のようで、他に食事客はいませんでした。まあ、このご時世でしかも雨模様ですからね。味の評価とは関係無いでしょう。・・・やや不安になりながらも頂いたメニューを精査します。

ふむふむ、カレーも美味しそうなのですが、娘が食べられないので却下。やはり当初の思惑通りお得な日替わりランチかな。しかし、最近急速に食事量が増加している娘がいるため、もはや二人分+αでは足りません。パスタランチに限定ランチ、加えてボロニア風ミートソースを注文しました。

これがボロニア風ミートソース。結論から言うとどれも美味しかったのですが、中でもこのミートソースが(winebuff的には)一番美味しかったです。私が頼んだひ日替わりの「竹のことベーコンのトマトソース」はやや酸味が強くて舌にやや刺激が残りました。バランス的には、ミートソースの濃厚な味わいの方が優っていたかな。

ポークのローストは、優しく上品な味付けで柔らかく、子供でも難なく食べれました。この手の肉料理にはやっぱり赤ワインが欲しくなります。レストラン名にあるように「マリアージュ」を楽しめれば最高だったのですが、いかんせんドライバーはアルコールはご法度なので・・・残念です。

レストランの食事を堪能&完食した後、建物を出て今度は左手に向かいます。樽が並べられ、ワイナリーの(というかワイン用ぶどうの)説明看板が無造作に掲げられたややそっけない廊下を抜けるとワインショップの建物があります。山辺ワイナリーの名前の由来はシンプルで、土地の名前から取ったものらしく、地元ぶどうを使用したワイン作りに拘りを持たれています。700m前後と標高がやや高めの冷涼な気候の為、酸味が乗ったワインが特徴のようです。

残念な事にここでも感染症予防の為、ワインの試飲は中止となっていました。(どうせドライバーなので関係無いといえば無いのですが。)カウンターにはお姉さんが一人手持ち無沙汰で佇んでおられ、他には誰もお客さんは居ませんでした。ショップの奥のガラス越しに幾つものワイン樽が見えており、どうやら貯蔵庫が併設されているようでした。

酸味が特徴と聞くとちょっと赤ワインは躊躇してしまいます。熟考した挙句、キリッと引き締まった爽やかな味わいを期待して、日本ワインコンクール銀賞受賞のシャルドネ樽醗酵2018を購入。 これからの季節にはぴったりです。

ランチにもお土産のワインにも満足し、次に向かったのは、安曇野ワイナリーです。スイス村ワイナリーの件があったので、恐る恐る進んでいくと、やった!こちらは営業しているようです。ワインの試飲もやっているとの事、ドライバーなので関係無いですけど。(しつこい?)

少し僻地?にあるワイナリーで山の麓に自社畑が広がっています。畑がメインでショップを併設させた様な作りで、車で来るしか交通手段がありませんが、winebuffが訪れた際は結構な数のお客さんがいらしていました。

看板があったので分かりましたが(説明が無いと何の品種だかwinebuffにはさっぱり分かりません)、この地方の主力品種メルローとシャルドネの畑でした。訪問した6月下旬では、ぶどうの粒もこんなに小さいのです。

ぶどう畑の横手に南仏調のセンターハウスがあり、この中にショップがあります。奥に見えるテラスでは、家族連れの方々がワインやヨーグルトなどを楽しんでいらっしゃいました。

入り口付近にあった畑の地図です。気がつかなかったのですが、カベルネ・ソーヴィニヨンやプティヴェルドの畑もあったんですね。とはいえ、やはり主力はメルローとシャルドネですか。

ショップ内は割合広く、比較的多くのお客さん達で賑わっていました。山辺ワイナリーと違ってスタッフの方々も多く活気がある感じです。奥のカウンターでは無料/有料試飲も行われていてご機嫌なおじさま方も。しかし、下調べではワイナリーカフェがあって軽食なども取れるとあったのですが見当たらないようです。後日、HPで知ったのですが今年1月にワイナリーに併設されていたカフェ「シャルキュトリーリュース」は閉店となったようです。安曇野ワイナリーも新型コロナウイルス感染症の影響を受けていたんでしょうか。厳しいですね。

今回購入したのは、このワイン。安曇野市明科に位置する天王原で栽培されたメルローを使用したショップ限定のワインです。winebuffも日本人で、どうも「限定」とか「スペシャル」等の言葉に弱いんですよね・・・。

ワインダイアリーのテイスティングメモ

そんなこんなで2泊3日で駆け足の北アルプスワイン紀行はこれにておしまい。長野の北部はかなり冷涼な気候のイメージがありましたが、ワイン用ぶどう以外にもフルーツの栽培も盛んで、肉や野菜などの食材も豊富かつ美味でした。澄んだ空気はもちろんですが、住む人のホスピタリティも良く、また来てみたいなと思わせる良い旅でした。しかし、この地方にも感染症の影響があちこちにみられましたし、関係の有無は兎も角、街の活気という意味では少し寂しく感じる部分も・・・。長野のワイナリーには、これからももっともっと頑張って欲しいですし、winebuffも今まで以上に長野を含む日本ワインを応援していきたいなと思いました。

おまけ:本旅に於ける裏ミッション?として、どうしても達成したかったのがこのダムカレーを食べる事でした。かの有名な黒四ダムに因んだカレーで、見ての通りダムに見立てたご飯がカレーを堰き止めているスタイルです。一見、カレーが多すぎて決壊するのではないかと思われるかも知れませんが、ご安心下さい。かなり薄い皿に乗っており、思ったよりカレーの量は多くありませんでした。(というかご飯に比して結構少なめでした。)このお店は、ダムカレー専門というわけではなく、何故か博多ラーメンや唐揚げなどもあり、どれもexcellentでした。自信を持ってオススメいたします。皆さんも機会があればぜひトライしてみてください。それでは、また次回お会いしましょう。

[winebuff]


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