山形のワイナリー
はいっとー(山形弁で’こんにちわ’)、winebuffです。今回は、2013年の7月に引き続き2度目の山形ワイナリー紀行です。前回は、山形の有名所のワイナリーをあちこち巡りましたが、今回はそれ以降にできた新しいワイナリーを訪問してきました。
例によって例の如く、3時半の早朝起床で7時台の飛行機に乗り、フラフラで庄内空港に到着しました。一日に羽田便が4便のみの小さな空港ですが、特に問題もなくスムーズに移動。
山形は、鉄道やバス等の公共交通機関が東京の様に充実していないので、やはりレンタカーは必須です。この旅のお供は、トヨタのルーミー号。コンパクトカーですが車高が高く、車内は広々としていて快適でした。
最初のワイナリーは、庄内空港から約20kmの距離にある「ピノ・コッリーナ松ケ岡」。2017年に葡萄栽培を開始し2020年にプレオープン。2021年にファーストビンテージをリリースとしたばかりの新進のワナリーです。元々この地は、明治初期に旧庄内藩士三千人によって桑畑が開墾され、製糸工場と絹織物工場が創設されました。その後庄内柿などを栽培する果樹園が作られ近年ワイン造りも始まりました。なるほど、柿から葡萄に変わったわけですね。
当初は、ワインショップを覗いてワインを購入するだけのつもりだったのですが、入り口の看板を見ると、何と5月8日から新規のランチ営業がスタートとの事。時計を見ると丁度12時。これは、見逃せませんね。予定変更してここでお昼を頂いていきましょう。
入り口入って右側にショップ、左側にレストランという配置です。まだ新しい木の香りが漂う店内は、開放感があって明るい感じです。先客も年配のカップルやマダムなど優雅な時間を楽しんでる方々のようで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
最初、屋内の席を案内されたのですが、せっかくなので空席が出来た後、葡萄畑が一望できるテラス席に変えていただきました。地元食材をふんだんに使用したイタリアンフレンチ、結構お高いランチですが、どれをとっても一級品のうまさ。返す返すも残念なのは、ドライバーのためピノ・コッリーナのワインとのマリアージュが試せないということです。こればっかりは仕方ありません。
食事の後は、ショップに寄ってワインを物色。まだ新しいワイナリーですが、ワインのラインナップが充実しています。自社醸造ワインの他にもノンアルコールワインやワインプリン、ワインジャム、ウィンナーから雑貨、輸入食材まで品揃え豊富です。
このピノ・コッリーナのメルローは、2023年の広島G7サミットにて提供されたという由緒ある?一本です。その他、白ワインの鶴岡甲州も同時に選出されました。2021年に国税庁が山形のワインを地理的表示GIに指定したということもあり、四大産地の一つである山形で今ワインが大きなブームになっているとのことです。
こちらのワインは、ANA SHONAI BLUE Ambassadorと連携し、作り上げたオリジナルのワインです。Vestito Cielo(ベスティートシエロ)2022は、ソーヴィニヨン・ブランとシャルドネのブレンドで、Vestito Rosso(ベスティートロッソ)2022は、ピノ・ノワール、マスカット・ベーリーA、メルロー、ネッビオーロのブレンドです。ANAサイドは、製品化におけるボトル・ラベル・ネーミングの考案、各種プロモーションを行なったとのこと。G7の件といい、まだ出来て10年も経たないワイナリーですが、色々と精力的に活動しているようですね。
winebuffが購入したのは、この二本。数百年もの歴史がある鶴岡市西荒屋地区の甲州の古木から収穫した葡萄で作られた白の蔵出し甲州と、2019年に植樹された松ケ岡産ネッビオーロを無清澄、無濾過で瓶詰めしたロゼのネッビオーロ・ロサートです。
美味しいランチを頂き、お目当てのワインも購入でき大満足のwinebuff。その勢いをかって近隣の次なるワイナリーへと足を運んだのですが、残念ながらお店はクローズ。ここの山形県産りんごを使ったシードルに興味があったのですが・・・。
2021年に設立されたピノ・コッリーナよりも更に若い「ホッカワイナリー」。このワイナリーのエチケットには、赤ずきんが描かれているのですが、赤ずきんが運ぶワインのような飲む人を幸福にする果実酒を目指す、という意味を込めているとのこと。とても印象的なイラストになっています。
実は、このワイナリーは、吾有事(わがうじ)の銘柄で知られる1724年に創業された歴史ある酒蔵、「奥羽自慢」が作っているのです!HOCCAは、農作業時に頭部にかぶる「ほっかむり」をイメージした造語で、キーカラーの赤は、「赤川」が由来。面白いですね。なぜ日本酒メーカーがワインをという疑問が湧くのですが、それは、この地でも農業従事者の高齢化が進み年々休耕地が増えている厳しい現実があり、地域活性化のために何かできないかと思い始めたそうです。日本酒の専門家とはいえワインは全く別のお酒ですから、かなりのご苦労があったと推察しますが、この様な前向きな取り組みは応援したいですよね。次の機会には是非入手して飲んでみたいです。
この旅のお宿は、ここ「メルキュール宮城蔵王リゾート&スパ」です。山形旅行なんですが泊まりは宮城県側です。まあ、蔵王は、山形と宮城に跨っているので良しとしましょう。この系列の特徴は、オールインクルーシブで、ビュッフェレストランでの夕朝食に加え、ラウンジでのドリンクやおつまみ、温泉利用等全て含んだ料金となっています。もちろんお酒もインクルーシブでワインも各種あると聞き、期待に胸を弾ませチェックイン!
お部屋は、ツインの36平米。普通の部屋です。余談ですがこのメルキュール、徹底したコストカットをしており、レストランは一つでビュッフェのみ。ミニバーもルームサービスも無し。アメニティはセルフで基本リネンの交換のみ。グラスの貸し出しもありませんでした。
当日が土曜日でホテルは大混雑。小さい子供連れのファミリーで溢れており、食事も時間制で19時からでした。しかしそんなことでめげるwinebuffではありません。食事会場に到着するやいなや、ドリンクバーに突進。おお、ありましたよ。赤ワインが3種類、白ワインが2種類、スパークリングワインが1種類。その他ビール、日本酒、各種洋酒と豪華なラインナップです。赤の銘柄は以下の通りです。
1.Domaine de Gras Estate Cabernet Sauvignon
2.Frontera Cabernet Sauvignon
3.Lamura Rosso di Sicilia
白の銘柄は以下の通りです。
1.Frontera Chardonnay
2.Domaine de Gras Estate Chardonnay
発泡の銘柄は以下の通りです。
1.Miramonte Brut
変わり種でこんなノンアルコールのジュースもありました。試しに飲んでみましたが、確かにカベルネの味がします。通常の葡萄ジュースに比べると甘さ控えめで酸味が強くややクセのある味わいでした。
食事はビュッフェスタイルだったので自分の好きなものを選ぶことが出来ます。まあいつもこんな感じの酒のつまみ状態なのです。メインの肉系が少ないのですが種類自体は多く、デザートも豊富。変わったところではラーメンやうどんを自分で作ったりもできます。朝食時はなぜかフォーもありました。winebuff的には、「ラムーラ」のロッソが一番美味しく、マリアージュ的にも良かったと感じました。
翌日は、山形盆地に位置する上山市にやってきました。ここは、昔からワイン作りが盛んな土地で、前回もこの周辺にあるワイナリーをかなり巡りました。少々分かりにくい道筋をなんとか辿って着いたのがここ「ベルウッドワイナリー」です。ワイナリー名の由来は、とても分かりやすくオーナーが鈴木さんだから。2020年に開業したばかりの真新しい建物の横に自社畑が広がっています。標高250Mの小さな丘の南斜面と北斜面に葡萄畑があり、北斜面には、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブランなどの熟度と酸を重視する品種を植えており、南斜面には、より熟度を高めたいメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンが植えられています。
今日は、ショップはオープンしているようですね。良かった良かった。余談ですが、このベルウッドワイナリー以外にも近隣にいくつも新しいワイナリーができています。調べてみると「かみのやまワインの郷プロジェクト」なるものが発足しており、この辺りはワイン特区として新規ワイナリーの誘致を支援されているようです。オーナーの方もこの制度を利用して新規就農されたとか。
あちらにおられるのは鈴木さんの奥様でしょうか?鈴木さんは、全くの個人でワイナリーを立ち上げ、「地獄の日々」だったと宣う位大変なご苦労があったとお聞きしましたが、現在は、奥様に加え義父、実母の方々4名で切り盛りされています。winebuffも昔少しはワイナリー経営に憧れた時がありましたが、いやいやとても無理ですね。
カウンターのすぐ右手のワイン樽の上に販売中のワインが並べられています。赤、白、ロゼ、スパークリングにオレンジワインと一通り揃っています。価格はニ千円台から四千円台のレンジでお求めやすいプライスになっています。
ちょっと迷ったのですが、winebuffが買ったのは、「コレクション・スペリオール・メルロー2022」と「コレクション・スペリオール・甲州2024」の二本です。甲州は有名な鶴岡産のもので、メルローは上山産のものを使用。まだ隣の自社畑の葡萄は使われていないとのことでしたが、今後は、自社畑の比率を高めていかれるでしょうし、日当たりの良い斜面の葡萄を使った本当の意味での自社ワインに期待が持てそうです。
「朝日町ワイン」で醸造責任者を務めた後、2017年に独立してベルウッドワイナリーを立ち上げた鈴木智晃さん。穏やかで落ち着いた雰囲気の方でしたが、ほぼ独力でワイナリーを立ち上げたその情熱と行動力に感心しました。短い時間でしたが色々とお話をお伺いし、今後製造される予定の自社ブドウで造るフラッグシップ、「ドメーヌ・クロッシュ」を是非飲んでみたいと思いました。
今回は、山形の新しいワイナリーを訪問しましたが、時間の都合等で行けなかったワイナリーがいくつもあります。「ウッディーファーム&ワイナリー」、「DROP winery」、「Voyage de YUUAI」、「Agri Coeur」、「グレープリパブリック」など、機会があれば必ず訪問したいですね。この次の訪問時には、更に新しいワイナリーが誕生しているかもしれませんし、成長を続ける山形ワインにこれからも注目していきたいと思います。それでは、また次のワイナリー訪問でお会いしましょう。
[winebuff]