sababay “New Latitude” winery in Indonesia
2014年1月末にインドネシアのバリ島への玄関口である、ングラライ国際空港からウブドへ向かう途中に sababay winery(サバベイワイナリー)に立ち寄りました。
空港から車で1時間ほどで到着した、サバビーチを望む、こちらの場所には醸造所があります。
2010年に設立され、2013年にワイン販売が開始されたばかりの新鋭ワイナリーで、日本からわざわざ個人で事前予約する訪問客は少ない為か、マーケティング主任で取締役のアルシアント・ポエルワント氏(Mr.Arsianto Poerwanto)の歓待を受けました。
すぐにステンレスタンクがたくさん並ぶ醸造施設に案内され、醸造責任者であるフランス人のヴィンセント・デスプラ氏(Mr.Vincent Desplat )が施設を紹介して下さいました。
ヴィンセント氏はフランスと韓国、オーストラリアで醸造経験を積んだあと、2010年にsababay winery の責任者となり、品質管理や新商品開発などを行っています。
現在はステンレスタンクのみでの発酵ですが、1年以内には樽発酵にも挑戦したいと意気込んでいました。
果汁を取り出したあと、28℃前後から14℃くらいまで温度を下げる冷却装置の説明をするヴィンセント氏。赤道直下の熱帯性気候のインドネシアならではの装置です。
「教会みたいでキレイな眺めだろ。」とヴィンセント氏が教えてくださった一枚。
故郷フランスを思い出す眺め、なのかなと感じました。
瓶詰めと梱包作業を行う場所はガラス貼りの冷房の効いた部屋の中にあります。
これも一年中30℃前後ある高温多湿からワインの品質を守る為の工夫です。
最新の機器が揃った醸造所ですが、機器メーカーはオーストラリア、フランス、イタリア、地元インドネシア、冷却システムは日本と、各国からsababay wineryに合うものが揃えてあります。
施設見学の後、ワインのテイスティングをしました。
1本めが、3週間前に初めて2000本が瓶詰めされたというスパークリングのMOSCATO d’BALI。
マスカット・サン・バリエぶどうを使用しています。
アルコール度数8%でフルーティーで甘口。
雑味がなくまろやかで、冷やしてクピクピとのめそうです。
2本めがインドネシアの地品種ぶどうアルフォンス・ラヴァレぶどうから作られる、赤ワインのLUDISIA。
アルコール度数12%で、やさしいアプリコットやチョコレート香があり、甘く、やわらかなタンニンが特徴。
インドネシアでは“なんと”年に12回、毎月、ぶどうの収穫ができるそうですが、LUDISIA用のぶどうに関しては、乾季(4月~10月)の時期にのみ収穫された良質のぶどうを使用するそうです。
ジャカルタでよく売れていて、台湾に輸出予定だそうです。
テイスティングをした2本とも甘口なのですが、香辛料を多用したオイリーなインドネシア料理に、フルーティーで甘口なワインがよく合うのだそう。
英語で会話するなかで、日本語の”UMAMI”という言葉が何度も登場しました!
ワイン関係者のなかでは、この”UMAMI”という言葉は、とてもポピュラーだそうです。
今までフランス語や英語の単語のなかに”UMAMI”のニュアンスを表現する単語がなかったのでしょうね。
タンニンが強すぎると、この”UMAMI”を感じられなくなってしまうので、やさしいタンニンのぶどう品種を探しているうです。
こちらの醸造所はバリ島南部にありますが、ぶどう栽培はバリ島北部で専属契約農家の方々によって行われているそうです。
栽培を指導し、生産性を向上させ、現在は180人ほどの農民と契約していますが、契約希望者が500人も待っているそうです。
高温多湿のなかでの、ぶどう栽培ですが、ビニールでぶどうに傘をつけることは費用が高いので行わないそうです。
テイスティングしながら、お話をしてくださったお二人。
左がアルシアント・ポエルワント氏。
インドネシア国内では、今までワインをあまりのまなかった若年層や女性もターゲットにまた海外にも販路を拡大していきたいと楽しそうに話してくださいました。
このブログのタイトルにもなっている”New Latitude”(Latitude=緯度)とは新世界ワインに対抗して作られた言葉でブラジルやインド、タイ、ベトナム、インドネシアなどの過去にはワイン製造が行われていなかった緯度で取り組まれるワイン作りのこと。
“New Latitude”のワイナリー関係者同士でこんなぶどう品種がいいよ、など情報交換をする会議もあるそうです。
“New Latitude wines are just a baby”と語るヴィンセント氏。
これからも注目していきたい地域です。
[pinomayu]